第17話 真の「わからせる」とはどういう事か、俺が『わからせる』

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三作品同時連載が流石に仕事しながらは厳しいと感じてきたので、以前別サイトで投稿していた物をそのまま投稿させて貰い、完結します。これまでの話は改稿して読みやすくしていたんですが、この話以降はコピー&ペースト且つ処女作なので文章拙ければ申し訳ないです。以降何話かあまりにもグロすぎる話があるのでどうかと思い、変更するつもりでしたがオリジナルそのまま載せてます。苦手な方はご注意ください。内容に矛盾はない筈です。

◇◇◇◇◇


 時刻は深夜0時50分。俺は今指定したホテルの廃墟の中にいる。


 優愛から前に聞いた話だ。この場所はかつて心霊スポットとして生徒達から人気があったが、誰一人心霊現象に遭わなかった事から、皆の興味の対象から外れ、今や近づくものば誰一人としていないらしい。


 今にもどこかしらからいきなりこの世ならざる者が出てきても何ら不思議ではない、悍ましい雰囲気は確かにある。試しに大きく声を出してみたが、闇に声はかき消され外の誰にも届く事はないだろう。


 正直長居はしたくない‥が、舞台開演にこれ以上ないくらいの相応しい場所だ。


 外はまたも大雨。声が漏れる心配はない。まさに俺の為に神が用意してくれたかのような絶好の機会。


 俺は廃墟の入り口すぐの1番大きい部屋、その奥で錆び付いた椅子に腰かけ、今か今かと待ち人を待っていた。


 舞台を彩る為に必要な道具入りの鞄はすぐ側に置いてある。両ポケットには海外製の強力なスタンガン、背中には小型のマチェットをガムテープで正面から見えないように貼り付けて待機。


 準備はすでに万端、先手必勝あるのみ。時刻が深夜0時58分に到達した時、世良、速水、相川の三人はやってきた。


「随分とギリギリのご到着じゃないか?1秒でも遅れていれば遠慮なく動画をアップロードしていたぞ?」

「お、遅れてはいないんだから許してくれよ‥」


 世良を先頭に入ってきた三人は既に酷く怯えた様子である。廃墟の雰囲気のせいでもあるだろうが、動画という武器を手にした俺と立ち会う事に緊張しているのだろう。


 大方、無い頭を寄せ合って作戦会議でもしてギリギリの到着になったといったところか。人を痛めつける事には躊躇しない癖にいざ自分達が追い詰められると、こうも情けなくなるんだな。


「まあいいだろう。ほら、そんな怯えた顔で入り口なんかに立っていないでこっちに来てくれよ。もっと近くで話そう。あまり怖がるな。悲しくなるじゃないか」


 そう言ってやると、俺の手が届きそうな範囲まで恐る恐る三人は歩いてきた。


 そこで、世良が一人一歩前に立ち、勢いよく頭を下げる


「本当に今まですまなかった!!俺たちだって別にやりたくてお前に酷い事してたわけじゃないんだっ!な?分かるだろ?橘に逆らえなかった事くらいさ!?俺なんか特に親父が国会議員でーーぎゃああああああああ顔がああああああ」

「うるさいな‥。別に謝って欲しい訳じゃないんだよ」


 謝罪をするのかと思いきや、自己防衛に走り出した世良の顔面を喋り終わるのを待つ間もなく、背中に隠し持っていたマチェットで遠慮なく切り付ける。


 痛みのあまりその場にのたうち回る世良。残る2人はいきなりの事に脳が追いついてけていない様子。しかしすぐに状況を理解し、血相を変えてその場から逃げ出そうとする‥が。


 逃がさない。絶対に。


 すかさず、両ポケットに入れてあったスタンガンを手にして2人に躊躇なく押し当てた。100万ボルト出せる代物だが、スタンガンで相手が気絶する事はない事は勉強済みだ。


 この数日、ただ無闇に何もせず俺は自宅で過ごしていたわけではない。殆どの時間を優愛とのメール、電話、拷問をするための知識の収集に充てた。


「きゃああああああああああ‥っ」

「ぐあああああああああああああ」


 身体に強い電流が走り動かなくなる二人。俺は3人が怯んでいるうちに、世良、相川にマチェットで何度も身体を切り刻む。怯んでいる隙に上半身を裸にし生身の身体に刃を振るっていく。


「「い、いでえええええいでてててでであだだだだだ」」


 声にならない言葉を発し、身体中に出来た切り傷から血を吹き出す2人。


「おいおい、そんなに喚くなよ?こんか小さいマチェットなんてそこまで切れ味はないだろ?こんなんで死なねーよ。本当に大袈裟だなあ。いつもの威勢はどこいったんだよ。みっともねーなあ芋虫みたいに転がって‥」


 電流の痛みと、目の前で繰り広げられている惨劇に足が震えている速水にも容赦なく二度目のスタンガンを浴びせる。


「きゃあああああ‥ああああ‥あああ‥ああ‥あ‥‥」


 おっ?気絶しちまったようだ。おかしいな?スタンガンで相手は気絶するような事は無いとネットには書いていたが‥。ああ‥そうだった。電流を食らわされる恐怖で気絶してしまう事もあると書いていたっけ?


 速水は盛大に失禁しており周りには水溜りが出来ている。汚い事この上ない。まあいいか、今は残る二人の相手を先にするとしよう。


「や、やめてくれ‥っ!!速水には手を出すな‥っ!」

「こ、こんな事してお前もただで済むと思ってるのか!!」


 相川が速水の身を案じ、世良がいかにもな事を口にする。


 そういえば、相川は速水に好意を抱いている様子だったっけ?人に容赦なく自殺しろという言葉を毎日吐き、嬉々として暴力の限りをつくし、権力に媚を売るあの女の何処に好意を抱く余地があるのか俺にはわからないが‥。これが所謂「類は友を呼ぶ」というやつかもしれないな。


 世良の言う事はもっともだ。当然ただで済む訳がない。但し、口外されたらの話だが‥。徹底的に恐怖を植え付けて言論の自由を奪えば何の問題もない。


「相川、お前は自分の身の事だけを考えていろ。世良、お前は俺の身を案じてくれるのか??くくく、案外優しいんだな」


皮肉たっぷりに笑ってやる。


「そうではない‥っ!お前、こんな事して絶対警察に捕まるぞ!少なくとも俺は警察にお前に殺されかけたと証言する!

日本の警察を舐めるなよ!お前が否定しようが証拠なんてすぐに見つかるぞ!?」


 タフな野郎だ。まだハッキリと喋れるくらい体力を残しているらしい。俺は念入りに世良の身体を刻みながら言ってやる。


「ははは、その通り!!俺は捕まるな、警察に!殺しはしないから殺人未遂といったところか?殺人未遂はもちろん重罪だ。だがなあ世良。俺はまだ16歳、未成年だ。しかも逮捕される前に俺がこれまで集めに集めたお前達の暴行の映像も全てネットに晒す。するとどうなるか??お前らは被害者なのに社会からは迫害され、間違いなく俺に同情する声が世間中から上がるだろう。そうしたら裁判所も情状酌量の余地を考えざるを得ない。未成年かつ酷いイジメの被害者だ。思ったより俺は早く出てこれるかもしれないぞ??」


 裁判の事なんか全然詳しくないが、いかにも理に適ってそうな事を自信満々に言ってやる。暴行の証拠映像なんて昨日の映像しかない。それくらいでイジメと認定されるのか情状酌量で減刑されるのかは正直な所わからない。


 お得意のハッタリだが、殺されるかもしれない恐怖に支配されている芋虫には大変な効果があったようだ。世良はそれ以上言葉を発するのをやめ、無様に呻き声だけを上げている。


 とうに話さなくなっている相川を切り付ける事も忘れていない。俺はあまり動かなくなった2人にとどめとばかりに脅してやる。


「俺は今日お前らを殺さない。でも、今日やられた事を誰かに少しでも口外してみろ?賢いお前らならわかるよな??」

「「ひ、ひいいいいいいいいいぃぃ‥‥」」

「刑期を終えて晴れて自由になった俺は、どこに隠れていても地球の裏側まで逃げようが絶対にお前らを探し出して殺す。気が狂う程の痛みを与えて。絶対にだ。『わかった』か??」


 コクコクと頭を上下に振る二人にニタアっと微笑んでやる。


 最後に「もう俺は一人殺してんだよ。二人殺そうが五人殺そうが一緒だろ?」と言いかけたが堪えた。危ない危ない‥。実際警察に捕まったら、殺人もバレて出て来られるかは分からない。


 俺は動けなくなった二人のクズ男と、まだ情けなく気絶したままのクズ女をロープで縛る。


 完全に三人を縛り切った事を確認し、クズ女を平手打ちして強制的に気絶から解く。


「おっ‥やっとお目覚めか??この状況で眠れるなんて随分と肝が据わっている奴だなあ」

「え‥わ、わたし‥。‥て‥っ!きゃあああああ相川あああああ世良あああああ」


 目が覚めた速水は目の前の惨状を理解して絶叫する。唯一の取り柄と言える綺麗な顔は恐怖で歪んでいた。


「無駄だ。お前がどれだけ叫ぼうが、そこで転がっている芋虫共に助けを求めようが無意味だ。誰もお前を助けには来ない。」

「嫌‥っ!イヤよ‥。お願い助けて‥。お願いします‥。ごめんなさいっ‥何でもするから‥っ!!

「おいおい‥。女の子が何でもするなんて簡単に言うなよ?

俺だから大丈夫だけど男はみんな俺みたいな善人じゃないんだ‥」

「い、いいから!!身体でも何でも好きにしていいから!これから何でもあなたの言う事聞くから‥っ!お願い、ね!?殺さないで‥」


やたらと物騒な事を言いながら命乞いを始める早川。酷く心外だ。俺は殺すつもりも、ましてや身体を陵辱するつもりも毛頭ない。


 いや正直に言えば復讐の作戦を立てる過程で、一瞬、ほんの一瞬だけ、相川の前で速水を寝取るという手段が最も相川に精神的に苦痛を与えられると考えた事はある。


 だが性犯罪は俺が最も嫌悪する行為の一つだ。すぐに考えから外した。優愛の悲しむ顔が頭に浮かんだ事が一番大きい。彼女に合わせる顔もなくなるし、そもそも優愛以外に俺は情欲は湧かない。ましてや速水なんてクズにはなおさらだ。


「安心しろ。俺はお前を殺さないし、身体をどうにかするつもりなんてない」

「あ、ありがとう‥っ!ありがとうございます!!じゃ、じゃあ私を助けてくれるの‥っ??」


 命拾いしたと勘違いし、歓喜に打ち震える早乙女。全く現金なヤツだ。お友達2人が重症を負っているのに自分だけ助かろうとはな。


 無罪放免?そんな訳がないだろう?約一年もの間徹底的に人に暴行を加え続けておいて何のお咎めも無しだとでも??烏滸がましいんだよ‥。この女は‥。


「でもなあ、女だからといって、このまま甘々と許す訳にはいかない。そうだなあ‥、お前のその綺麗な爪を全部貰うとしよう」


 嬉々とした顔から一転、速水の表情が絶望に染まり上がる。


 鞄からペンチを取り出し速水の後ろに回り込む。側から見れば後ろから抱きしめているようにも見えるかもしれない。


 ブルブルと震える速水の手を握ってやる。そして耳元で囁く。


「きゃああああ助けてええええ相川あああ世良あああ!!」

「そんなに怖がるなよ?俺は女を無闇に傷つける趣味はない。何も芋虫野郎共みたいに全身をズタズタに引き裂くわけじゃないんだ。な?すぐに終わるからさ?」


 綺麗なネイルを施した速水の右手の親指の爪から一気に引き剥がす。親指から小指にかけて一本ずつ、ペンチで爪を弾き剥がす。右手が終われば左手へ。爪を一本剥がす度に速水は号泣して甲高い悲鳴を上げるが容赦はしない。


 左手の爪も、残るは小指だけになった所で速水が見当違いも甚だしい事を喚き始める。


「えぐ‥ぐす‥何で‥何でここまでするのよ‥。確かに酷い事をしたけど流石にやりすぎでしょ‥っ!?」

「黙れ!!!どこがやりすぎなんだ?全然足りないくらいだ!お前らは約1年間俺に毎日暴力を積み重ねてきたんだ!!数にして何発になると思う?それに比べてお前らの痛みは今日一日だけだ!酷いどころか甘すぎるくらいなんだよ!!!わかるか?速水!お前に毎日打たれ、蹴られ、自殺しろという言葉をかけられ続けた俺の痛みが!」


激情に身を任せて最後の小指の爪を弾き剥がす。その瞬間嫌な音が鳴った。力を入れすぎて小指があらぬ方向に曲がってしまっている。どうやら折れたらしい。


「ぎいやああああああああああ」

「少しは人の痛みを思い知れ!!クズが!!!」


 俺はスタンガンを取り出して爪が剥がれ肉が露出した部分に電流を加えようとする。触れる直前、速水は意識を失ってしまった。


 そこで俺は我に帰る。指と爪の間に針を差し込むだけで相当な痛みがあると聞く。それなのにスタンガンなど押し当てたらそれこそ殺してしまうかもしれない。


 危ない‥また一線を超えかけてしまった。十分に気をつけねばならない。


 最後の仕上げだ。女には我ながら手加減したが野郎共に手心を加えるつもりは毛頭ない。徹底的に恐怖を植え付けてわからせる。


 芋虫二人を蹴り上げる。二人共ゴホゴホと咳き込んでいる事から気絶していない事を確認する。鞄からサバイバルナイフを取り出し、無機質な声音で宣言する。

 

「あー‥なんか気が変わっちまった。やっぱお前ら殺すわ‥生かしておく理由もないし」


 芋虫は俺が手にした鋭利なナイフを確認すると


「「やめ‥やめてくれ‥やめろおおおおおおおおおおお」」

「お前らさ?いつも「わからせる」とか何とか言ってたよなあ〜??」


 命乞いは完全に無視。快楽殺人鬼を装いケタケタと笑いながらサバイバルナイフを振りかぶる。


「『わからせる』ってのはなぁ‥っ!!こういう事なんだよ!!!死ね!!!芋虫野郎!!!」


 二人の首の間、紙一重で廃墟の脆くなった床にナイフがめり込む。


 殺されたと思った芋虫野郎共は顔からありとあらゆる液体を出しながら意識を失った。


「嘘に決まってんだろ馬鹿が‥」


 吐き捨てるように呟く。言葉を返せる者はいない。


『お前ら三人‥今日から俺の家畜だ』

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