アラフォーフリーター男と初体験

奈菜子の初体験は高1の時だった。

大手ハンバーガーチェーンでアルバイトを始めた奈菜子はその職場で初体験の相手と知り合った。

名前は奥村秀夫、37歳になっていたが奈菜子と同じアルバイト店員だった。

どちらかというと秀夫は奈菜子の嫌いなタイプだったが、いつも分け隔てなく秀夫に接していた。

奈菜子は誰に対しても礼儀正しく丁寧に対応出来る女子高生だった。

奈菜子は食べ物の好き嫌いも多く、服装や物へのこだわりも強かった。

虫が大嫌いで不潔な事も嫌いだった。

人に対する好みも厳しかった。

でも奈菜子は、嫌いなタイプの人に対しても普通に接することが出来たので。男性にも女性にも好かれた。

中学生の時も体の関係はなかったが告白され、仲良く付き合った同級生がいた。

高校に入ってからも奈菜子はモテた。

告白され仲良く付き合っている同級生もいた。

でも奈菜子は、中学生の時も高校に入ってからも、付き合っている同級生を彼氏と思っていなかった。

その理由は奈菜子にも分からなかった。

「彼氏って何だろう?恋愛って何だろう?」

小学生のころから文学少女だった奈菜子はいつも疑問に思っていた。

その日は、奈菜子と秀夫は同じ時間にバイトを上がった。

「うちの家に来ない?」

今までそれほど会話を交わしていなかった秀夫から突然誘われた。

店での仕事もパッとせず、見た目も全くタイプではない秀夫からの突然の誘いだった。

「別にいいけど、そんなに時間ないよ。」

秀夫に全く興味なかったが、一人暮らしの男の部屋に興味があった。

官能小説やボーイズラブなどもよく読んだ奈菜子は、一人暮らしの男の部屋に興味があった。

「AVやアダルトグッズがあるかもしれない。」

同級の男の子の部屋に行ったこともあったが、綺麗に片付いていて奈菜子にはつまらないものだった。

「汚れてるのかな?」

綺麗好きの奈菜子には怖いもの見たさもあった。

しかし連れて来られたのは普通の一軒家だった。

「ただいま!友達連れてきたから邪魔しないでね!」

玄関を開けると秀夫は大きな声で家の奥に声をかけると、そのまま2階の自分の部屋へ向かった。

「親が居るなら挨拶したほうが良いんじゃないの!?」

と思いながらも仕方なく秀夫について二階へ上がった。

「なにこれ!いい歳して親と同居なの!しかも親がいるなんて信じられない!」

もともと秀夫に興味のなかった奈菜子は早く帰りたかったが口に出せず、案内されるまま秀夫の部屋についていってしまった。

「そこに座って。」

と言われ奈菜子はベッドに腰を掛けた。

「早く帰りたい。早く帰りたい。」

と思っていると突然秀夫は奈菜子を押し倒した。

「いや!やめて!」

と奈菜子は思ったが声に出せず、下に秀夫の親が居ると思うと激しく抵抗することも出来なかった。

秀夫は奈菜子のパンツを脱がせ、自分のパンツを膝までおろしいきなり行為に至ろうとした。

ムードもキスも全くない、挿入するだけの行為だ。

「どうせいろんな男とやりまくってんだろ!」

秀夫は奈菜子が処女だと思っていなかった。

なかなか入らなかったが秀夫は諦めず突き続け、最後には貫通してしまった。

「おぉ!!締まる!!!」

秀夫は人生で最高の快感の中、1分も経たないうちに奈菜子の中に果ててしまった。

その間「いや!いや!」とつぶやいていたが、奈菜子は大きな声を出したり激しく抵抗できなかった。

「ティッシュ!ティッシュ!」

秀夫はベッドが汚れないように自分と奈菜子にティッシュをあてがうと

「今までやった中で一番気持ちよかったよ。またやりたいからよろしくね!」

相手の意思を全く無視した行為と発言だった。

「時間が無かったら、もう帰っていいよ。」

自分さえ満足すれば奈菜子のことはどうでも良い秀夫だった。

奈菜子はあまりの出来事に呆然としていた。

初めてなのに痛みも少なく出血もしてなかったが、心に受けた衝撃はすさまじいものだった。

「好きでもないこんな男に初めてを奪われ、中出しまでされてしまった。」

もしかしたら妊娠するかもしれないという恐怖はもちろんあったが、好きでもない男に初めてを奪われ中出しまでされた敗北感と背徳感は奈菜子の心を痺れさせた。

「どんな本を読んでも、こんな気持ちを感じられないわ!」

行為自体は全く気持ちよくなかったが、精神的にある種の快感を奈菜子は得てしまったのだ。

それから奈菜子は誘われるまま何度も秀夫との行為を繰り返した。

会話もキスもなく着衣のままするだけの行為を繰り返した。

気持ちよさや喜びを全く感じられない行為を何度も繰り返したのだ。

あるのは敗北感と背徳感だけ…でも奈菜子はそれがたまらなかった。

「俺たちセフレだよな。」

秀夫は会うたびに奈菜子に確認した。

1度もデートすることなく、秀夫の部屋でするだけの行為…まさに奈菜子は秀夫にとって都合の良いセフレだった。

「親のいる家じゃ気分が乗らないから他でしたい。」

と行ったことのないラブホを期待しながら奈菜子が言うと、秀夫は公園のベンチや滑り台で行為に及ぶようになった。

「この人は私に時間もお金もかけたくないんだ…」

そう思うと奈菜子の敗北感や背徳感を益々刺激されえた。

しばらくそんな関係が続いたが、秀夫がバイトをやめることで二人の関係は終わった。

他のバイトの女の子とトラブルを起こし、秀夫はバイトを首になったのだ。

秀夫は他の女子店員に奈菜子と同じことをしようとし警察沙汰になったのだ。

秀夫との関係に慣れてしまい、刺激を感じなくたっていた奈菜子にはちょうどいい別れ時だった。

この体験でまず行為をし、セフレになることが、奈菜子にとっての男との付き合い方の流れになった。

奈菜子にとって、彼氏・彼女は遠いものだった。

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