第21話:忠彦の元カノ。

例の素行調査以来、忠彦と莉子は順風満帆に愛を育んでいた。


だがある日、忠彦のマンションに一人の女が訪ねてきた。


その女はまるで自分の部屋にでも帰ってきたかのように忠彦のドアの鍵を開けて

玄関からずけずけと部屋の中へ入って来た。


「忠彦いる?」


玄関で聞き覚えのある声がしたので、奥から怪訝な表情で忠彦が出てきた。


「え?・・・玲子?・・・なんで?」


「久しぶりだね・・・私帰ってきたの・・・フランスから」


「そうか・・・まだ僕の部屋の鍵持ってたんだ?」


「そうね、捨てられなくて・・・」


「この部屋懐かしい・・・」


「なんで来た?」


「わ〜冷たい言い方・・・」


「僕たちもう関係ないだろ?」

「君とは二度と会わないって言ってあったよな・・・」


「そんなこと言わないでさ・・・せっかく来たんだし・・・」


「悪いけど帰ってくれないか?」

「僕の方は君に用事ないから・・・」


「久しぶりに会ったのに、ほんと冷たいね」


「あの時、君は僕に飽き足らず、僕の兄貴まで誘惑しただろ?」

「兄貴が君を奪ったのかもしれないけど・・・」

「人を散々、傷つけたあげくに君は海外に去ってしまった」

「僕たちもう別れたはずだよな?」


「僕も目が覚めたよ・・・あの時は僕も若かったし、あまりに君に夢中で

自分を見失ってた・・・未熟だった自分を反省してる・・・」

「今なら、なにが大切かは分かってる」


「ねえ、二人とももう大人でしょ・・・もう一度ヨリ戻さない?」


「今の僕に必要なのは君じゃない」

「悪いけど、今日客が来るんだ・・・だから帰ってくれないか?」

「君とくだらない話してる時間なんてないんだ」

「言っとくけど、二度と訪ねてこないでくれるとありがたいかな?」


「別れたらほんと冷たいね」


「僕を裏切ったのは君だろ?」


「だから〜もう一度ヨリもどそうよって言ってるの」


「いいから、帰ってくれ・・・」


「嫌だって言ったら?」


「頼むから・・・さっきも言ったけど、客が来る予定になってるんだから」

「君がいちゃ〜まずいんだよ」


「なによそれ・・・あ、分かった・・・女ね」

「女が来るんだ・・・そうなんだ・・・」

「私がいない間に・・・女なんか作ったりして・・・まあ別れてからもう

5年経ってるからね・・・女がいないほうがおかしいか・・・」


「どんな女か見てあげる」

「いつ来るの?」


「帰れ、頼むから・・・」


すると玄関のチャイムが鳴った。


(莉子・・・)


「忠彦・・・来たよ〜」


そう言って莉子が部屋に入ってきた。

莉子が忠彦を呼ぼうとして立ち止まった・・・そこに忠彦と見知らぬ女がいた。


To be continued.


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る