第3話:フェラーリ。
仕事が終わった莉子は会社の玄関を出てレブルを止めてある駐車場へ行こうとした。
すると玄関先の目の前に真っ赤な車が止まっていた。
莉子は一瞬誰のフェラーリ・・・と思った。
で、そのままやり過ごそうとしたが運転席を見て足を止めた。
「ねえ、莉子ちゃん、乗ってかない」
「君がそろそろ出て来るだろうって思ったから待ってたの」
「僕もこれから帰るところだから、家まで送るよ」
そう声をかけたのは目の前のフェラーリの持ち主、芹沢 忠彦だっ た。
(フェラーリって・・・いかにもな感じ)
「ずいぶんいい車に乗ってるんですね」
「ん・・・まあね 」
「君に合わせてみたの」
「私、そんな派手な車、似合わないです」
「いかにも金持ってんど〜って、これみよがしな感じですよね」
「それに私、自分の足ありますから・・・」
「分かるよ、その格好だもんね」
「どう見てもその格好で電車通はないよね」
「分かってらっしゃるなら、お誘いには乗りませんから」
「残念だな・・・」
「バイク会社において付き合ってよ」
「私が、はい分かりましたって、素直についていくと思ってます?」
「そんな軽い女じゃありませんから・・・」
「逆に君がそんな女だったら誘わないと思うけど・・・」
「どうしてもダメ?」
「ダメです」
「せっかく知り合えたのに・・・」
「あなたが勝手にズケズケと私に近づいて来たんじゃないですか?」
「それはそうだけど・・・ダメなの?」
「しつこいと今より嫌われますよ」
「仕方ない、今日は諦めるけど、また誘うから」
「食事でも付き合ってよ・・・」
「何、勝手なこと言ってるんですか」
「無駄なことはやめたほうがいいですよ」
「もう、近づかないでくれるとありがたいんですけど・・・」
「そんなこと言わないでさ」
「さよなら」
「つれないね・・・」
「分かった・・・じゃ〜また今度・・・」
「僕、君のこと諦めないからね」
そう言うと、真っ赤なフェラーリはいい音を残して走り去っていった。
莉子は思った、きっとあの人はセレブ「成りあがり」で、 どこかのお金持ちの
御曹司・・・または大きな会社の二代目かなんかで、いけすかないバカ息子だって。
まあ、それは半分当たっていた。
でも、セレブであれだけイケメンなら女性関係もきっと派手なんだろうなって
莉子は思った。
莉子はお金持ちとかセレブとか、まったく興味がなかった。
やはり忠彦は自分とは違う世界に住んでる人だと莉子は思った。
To be continued.
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