第2話:美咲の援護。
「この子だと思ったら迷わず声かけなくちゃ」
「今、君を逃したら二度と会えなくなっちゃうかもしれない、永遠に・・・
だからね」
「そんなことになったら絶対後悔するでしょ」
「僕はシャイだけど、勇気を出して今、告白してるわけ」
これまでも何人かの男に付き合ってくれって告られたことはあったが
ここまでダイレクトに迫って来られた経験はなかった。
「もういいですから・・・どこか他でやってください」
「迷惑です」
「そんなこと、言わないでさ・・・」
「少しでいいから、僕の話を聞いてよ・・・」
「おまたせ・・・」
そんなやりとりをしてるうちに美咲が息をきらしてやって来た。
でも自分が座るはずの席に見知らぬ男が座っていた。
「莉子、この方は?」
「知らない人」
「いきなり来てナンパされたの」
「うそ、まじで?」
「あなた、なんなんですか?」
男は美咲を見た・・・。
「ごめんね、君の席でしょ」
「すぐ退散するから、莉子ちゃんの携帯番号聞いたら・・・」
「何言ってるんですか、失礼な人ね」
「まあ・・・それも、よく言われます」
「そんなこと、どうでもいいですから早くどこかへ行ってください」
「気持ち悪い」
美咲は莉子に変わって芹沢に食ってかかった。
「人をゴキブリかなんかみたいに言わないでくれる」
「第一、僕の相手は莉子ちゃんだよ、君じゃなくて・・・ねえ莉子ちゃん」
「馴れ馴れしいです」
「はっきり言って迷惑」
「分かった、分かりました・・・でも君のことは知ってるから」
「今日の続きはまた今度、
「じゃーね・・・またね〜」
そういって芹沢と名乗った男はそそくさと去っていった。
去っていく芹沢を見ていた美咲が言った。
「なにあれ・・・ちょっとイケメンだと思って・・・キモ〜・・・」
「莉子、あんなチャラいの、また声かけられても相手にしちゃだめだよ」
「まるでストーカーみたいじゃない」
「失礼な人よね・・・」
そうは言ったが莉子は今の男を知ってる気がした。
どこかで会ってる・・・でも思い出せない・・・。
芹沢の存在は莉子の漠然とした記憶の中の片隅にわずかにあった。
そう、実はこの
一度会ってるのだ。
でも、その時は人がたくさんいたし、自分とは関係ない一人の男のことを
いちいち覚えているはずもなかった。
To be continued.
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