第3話 UFO

「教授の言うことも尤もなんだよな」

山田は言う。教授との雑談の翌日。昼過ぎである。学内のビュッフェでたまたま暁美に出くわし、そのままなんとなくコーヒーを一緒に飲んでいる。

「地球人の時間なんてごく短い。宇宙の時間からすれば一瞬だ。宇宙人も同様とすれば、そんな一瞬の時間にそれこそ宇宙的距離、天文学的な距離を克服、到達することは出来んわな」

山田は天を見上げる。

暁美は考えながら言う。

「そもそも、宇宙人は地球人を発見することすらできない、、、逆も同じね。地球人も宇宙人を発見すらできない、、、」

山田は腕をああたまに組みつつ、

「誰かが言ってたな、”この宇宙がこんなにも広いのは、知的生命体がお互いに干渉できないように、神がそう作った”ってね」

暁美は苦笑気味な妙な顔しかできない。

「でも、今度はどんな話をするの?これで終わりはないわ」

「ちょっと癪に障るしな。なんというか、簡単には納得できんというか、したくないというか」

2人はコーヒーをゆっくりと飲む。

「そもそもUFOって何なのかしら?」

あっけにとられる山田に対し、至極真面目な顔で暁美は問う。


翌週、鴨川ゼミ、恒例の雑談である。

「そもそもUFOってなんなんでしょうか?」

暁美が鴨川教授に問う。

「、、、君は何だと思う?」

教授は質問で返す。

「一般的には、宇宙人の乗り物だと言われています」

「君もそう思うのかね?」

「いえ、私にはわかりません」

「それが正解だと思うがな。私もそう思う。何かわからない。だからこそ未確認飛行物体なんだろう?」

「しかし一般的には宇宙人の乗り物と言われています。それが有力ということなのかもしれません」

「君は、有力だと思うのかね?」

「いえ、、、」

鴨川教授はゆっくりと立ち上がり、頭を掻きつつ語り始める。


「どうして、UFOが宇宙人の乗り物だと一般的に言われているんだろうね?」

教授は学生たちを見渡す。誰も目を合わせない。

助手の花村と目が合う。

花村はいたずらっぽく笑みを浮かべ発言する。

「とても地球の技術とは思えない。だからきっとそれは宇宙人の技術なんだろうと。そういう話ではないですかね?」


教授は頭を掻きつつ、

「地球の技術ではないから、宇宙人。か、、、そんな理由なのかね?」

花村はとぼけて、

「まあ、おそらく。そうとしか考えれれないとまで言う人はいますね」

教授はその言葉を聞いているのかどうか無反応だ。

「だったら、現代の技術とは思えないから、未来人だ、でも同じじゃないのかね?」

「さらには、この世のものとは思えないから、異世界人だ、とか、異次元人だとか、そんなんでもいいじゃないか?」

教授は皆を見渡し問いかけた。

花村は、両手を開くジェスチャーをして

「さあ?」というような表情。

教授はさらにやや大きな声で、

「どうして宇宙人なんだ?」


皆は、両手を開くジェスチャーをしているわけではないが、

「さあ?」というような表情をしている。

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