第4話 閉店
それから日に日に容態が悪化していく姉のお見舞いをして、気がついたら数カ月も経っていた。
そして、姉は静かにこの世から去ってしまった。
ぼくは姉のお葬式を終えて。花屋で出会った彼女の名前を知るために、もう一度あの花屋に足を運んだ。
花屋に行くと、お店は閉まっていた。真っ暗な店の中を覗いても彼女の姿はなく。代わりに隣のケーキ屋さんのおばさんが大きな声で客引きをしていた。
「あら、お花を買いに来たの? 残念だけど、お花屋さん随分前に潰れちゃったそうよ」
「あの。ここで働いていた女の子は?」
「あら、知らないわ」
「え?! あの。ぶしつけですみませんが女の子の名前を知っていたら教えて下さい」
「うーん。私、知らないのよ。今日が初めてなの。このケーキ屋さん」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます