第3話

「あのさ、おにぃ。」


「どうした?」


今現在、先程の一連の流れから約1時間ぐらいの時間が経った。

その間の時間、私は布団に潜り込み、横になっていた。そしておにぃはずっと私の横で座り込み私のほうを見ている。

正直なところ、おにぃ以外にこんなことをされたら叫び倒す自身がある。おにぃに恐怖を感じる。


「なんでずっとここにいるの?」


ここでお前の顔を見るため、とか言われたら吐く自身がある。


「お前忘れたのか?俺はお前のことを看病するって言ったじゃないか。」


なるほど、おにぃは看病という言葉の意味を知らないのかもしれない。

そんな、ずっと同じところにいて、私の顔を眺め続けるだけが看病とは言わないような気がする。


「おにぃ、そんな眺め続けられても、私は眠れないんだけど……。」


「俺はお前を看病するって決めたからな。頑張って寝ろ。」


「なんでそういう方向に努力するの!?」


「嘘だよ。でも、また熱が上がってきたりしたら困るからさ。」


なるほど、そういうことか。おにぃのことだから何をしてもおかしくないから本気で言っているんだと思った。


「おにぃは私のこと好きなの?」


唐突に聞いてみたくなった。

私はおにぃのことが好きだ。そりゃあもちろん家族として、だ。

でも、おにぃが私のことを好きかどうかなんて確かめようがない。


私は不登校だ。大した理由があるわけでもない。ただただ自分が学校に行きたくないという理由だけで学校に行っていない。

そんな私のことをおにぃはどう考えているのだろうか。

私だったらそんな妹がいたら世間的にも嫌だし、なんで学校に行かないのか聞きたい。

もしかしたらおにぃもそういう風に思っているのかもしれない。

そう考えると急に怖くなってきた。


「俺か? 俺はお前のこと好きだぞ?というか好きじゃなかったらわざわざ毎朝起こしてまで学校に行けなんて言わないだろ。」


正論だ。おにぃは毎日私に気をかけてくれている。そんなおにぃが私のこと嫌いだなんておもっているわけがない。


感謝しなければ、このまま不登校として生きていたら心が押しつぶされてしまっていたかもしれない。こうして、学校に行こうかな、と思うこともなかったかもしれない。


「おにぃ、ありがとう♪」


「お前、どうしたんだ?急に声が明るくなってるぞ。俺はうれしいぞ妹が元気になってくれて。」


なんかちょっと勘違いしているのかもしれないが元気になったことは事実だ。


ありがとね、おにぃ


私は心の中でそう思うようにした。



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