第2話

「うーん。」


目が覚めたら私は知らない天井ではなく、見知った天井を見た。

そして、やはり体は重く、中々持ち上がらない。


「起きたのか? お前、急に倒れるからびっくりしたぞ。」


おにぃは私が倒れてから今までずっと私の部屋で私の様子を見ていてくれていたようだ。


「ごめん。」


今は少し熱はましになっているのだろう。しゃべることはできるようになっている。


「おにぃ、今日学校でしょ?私のせいで行けてないじゃん。」


「お、お前今日が学校がある日だと知っていたのか?」


「意外と失礼なこと言うねおにぃ。私だってそれぐらいは知ってる。」


頬を膨らませながらそう言うと、おにぃは笑った。


「そんな冗談言えるようになってるならましだな。よかったよ。倒れたから病院とか行った方がいいかなー、って思い始めてたから。」


「病院に行かないといけないほどのことじゃないよ。そう言えばおかぁとかは知ってるの?」


両親はこのことを知っているのだろうか。こんな不登校なんかに気をかけてもらいたくない。

本当はおにぃだって今日は学校があったのに、私のせいで……。


「母さんたちはもう仕事に行ってたから知らないぞ。」


「ありがとうおにぃ。私はもう大丈夫だから遅れてでも学校に行って。手をわずらわせてごめんね。」


「俺はお前のそんなところ好きだぞ。でもな、他人にばっかり気を使わずに自分がしてほしいこととか、自分のことをさみんなに伝えてほしい。」


「そんなこと言われても……。私はみんなに迷惑なんて掛けたくないし、今だったらおにぃには私なんかの看病なんかせずに学校に言って欲しいと思ってるよ。」


これは私の心の中からの本心、だと思う。おにぃにはこれからの将来の可能性が詰まっている。

だから学校に行ってほしい。


「俺もお前には学校に行ってほしい。まだお前も俺とそう変わらない年なんだ、お前だって学校に行く必要がある。」


それはそうだ。完璧におにぃの言う通り。

私は返す言葉を見当たらずにいた。


「お前は学校に行かないという選択をした。それならお前が俺に学校に行ってほしいというのはおかしいと思う。だから俺は今日学校を休む。で、お前の看病をする。わかったか?」


ちょっと何を言っているかわからなかったがおにぃが今日私の看病をしてくれると言うことはわかった。


「看病してくれるのはわかったけど……。ううん、なんでもない。ありがとうおにぃ!」

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