第7話

 僕とアスカがサボって楽隠居を決め込んでいる間にも世界の動乱の動向は刻一刻へと変化していた。

 多くの村や町が貴族たちの魔法で焼き尽くされる中で、反乱に加わった一般市民も加わっていない一般市民も。

 その多くが死に絶え、行き場所を失っていく中で一般市民の反乱は徐々に下火になり、この混乱の中。

 戦争を始めた国々による戦争も世界各国の大国による仲介のおかげでほぼすべてが終結していた。


 だが、その代わりとしてアル・レテンの存在感が大きく上昇した。

 これまではただがむしゃらに構成員を増やし、無秩序に動きまわって拡大していただけであったアル・レテンが少し前から急速に秩序を取り戻し、本当にわずかばかりの時間でその組織の統制が取れ出し、実に組織だった動きで小国を潰して回っていた。

 

 そんなアル・レテンによって潰された小国より押し寄せる難民の数々が大国の足元で燃え広がり、ありとあらゆる産業が停止している。

 

 問題はアル・レテンだけではない。

 これまで人間たちの下につき、不遇の時代を歩んでいた亜人達の反乱、その脅威も未だ健在であった。

 

 アル・レテンが、一人のダンピールが、一人の少女が起こした動乱は未だに終息が見えず、世界に強い影響を与え続けていた。


 ■■■■■


 そんな世界の中。


「いい加減隠居決め込むの限界かな……」

 

 僕はアスカと共にのんびりとした時間をログハウスの中で過ごす中で口を開く。


「そうですね。もうすでに敵は誰もいませんしね。全滅させてしまった可能性があります……私が適当に放った魔法が敵の本拠地をぶっ潰してしまったのでしょうか?」


「あれだけの規模で破壊していたんだし、それもあると思う」


 既にザイツブルクはこれ以上ないほどの壊滅状態である。

 もはや誰も生き残ってはいないのではないだろうか?というような状況で、こんなところにもう仕事なんてないだろう。


「うぅ……調子に乗ってぶっ放してしまいました」


 その状況を作り出した最大の原因とも言えるすべてを爆破した大魔法を適当に発動させたアスカが頭を抱える。


「まぁ、そんな日もあるさ」

  

 僕はそんなアスカへと慰めの言葉をかける。

 今のところ、僕とアスカは二人で問題はあれども平和な時間を過ごせていた。

 

「ようやく見つけたわよ」


「もう少し派手に、輝かしく動け」


「……想像以上に見つけるのに時間がかかったわ」

 

 そんな僕たちが生活を送っている僕自作のログハウスへとミリア様たち三人が襲撃を仕掛けてくるのであった。

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