第6話

 現在、アスカに与えられている任務はフランクロ王国における南部最大都市であるザイツブルクを占拠している暴漢の殲滅。

 既にアスカはザイツブルクを陥落し終え、今はなんとか逃げ延びた残党の殲滅に動いていた。

 僕はそんなアスカのお手伝いを命じられていた。


「……それで?全力でくつろいでいるようにしか見えないけど構わないの?」


 そんな命令を与えられている僕たちであるが、廃墟となったザイツブルクにもいかず、僕の作ったログハウスの中でダラダラと怠惰な生活を送っていた。


「お兄様であれば既に把握できているでしょうが、相手は既にゲリラ戦の構えです。すべてを探し出して叩くのは無理です。たまに戦力を集め終えて出てきたタイミングで叩けば良いんです。私はこの方法で粘って数週間ほどサボっています。良いでしょう?」


「サボりって認めちゃっているじゃん」

 

 僕はアスカの口から出てきた本音にぼそりとツッコミを入れる。


「良いじゃないですか、二人きりで上の方から文句を言われない間はスローライフを満喫していましょうよ」


「まぁ、それもそうだね。サボれるときはサボっておくのが一番」


「その通りです。私としてはこのままお兄様と一生スローライフを過ごしたいくらいです」


「それはあれかな?色々とゴタゴタが終わった後……何かも綺麗にうまく行けば、かなぁ?」


「むむぅ。やっぱりサボらず真面目にやるべきでしょうか?」


「別にこの世界の治安どうのこうのは僕たちの仕事じゃなくて既にいる王侯貴族の仕事だし、治安維持は任せて良いでしょ。個人的に対処しなきゃいけないと思っているのラミィの件だけだから……僕としてはアル・レテンを叩き潰せればいいよ」

 

 僕の仕事は自分の身内であるラミィを止めるところまでだろう。

 その他の部分の負債を返済し、どのような結末を描くかは僕ではなく他の人間たちであろう。


「その準備は進んでいますか?」


「まぁ、一応ね?」

 

 僕はアスカの言葉に頷く。


「それではすべてお兄様に任せます。私も昔と違い、今では立派な戦力です。私という駒を好きなように使ってください」


「うん、ありがとう」

 

 僕はそんな風に告げるアスカの言葉にお礼の言葉を告げる。


「それじゃあ、今日は南方の珍しい国から取り寄せたゲームで遊びましょう。結構楽しいんですよ?これ」


「おー、良いじゃん」

 

 机の上にボードゲームを広げるアスカに感嘆の声を上げ、僕とアスカはログハウスの中で二人、ボードゲームを楽しむのであった。

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