第16話
ミリア様からの告白に、アスカからの提案。
色々と限界だったところにそれらが加えられ、なんかもうぐちゃぐちゃの僕はそれでも再開した学校へと登校してきていた。
「はぁー」
「どうしたの?話聞こうか?」
クラスの席で深々とため息をついていた僕へと実に久しぶりに会ったような気がするリリシアが声をかけてきてくれる。
「他人に話せない事情が重なった、さ。もうぐちゃぐちゃ」
僕は俯いたままリリシアの言葉に素っ気なく答える。
「あぁぁぁぁぁぁ」
マジで僕はどうすれば良いのか……本当にいつまでもうじうじと悩んでいる。
お義母さんとの約束、アスカとの生活、生きていた実の妹であるラミィの存在にミリア様からの告白。
優柔不断な軟弱ボーイに背負える情報量ではない。
「まぁ……君も色々と大変そうだものね。ミリア様の過保護だったり、投獄だったり……本当に大丈夫?」
そういえば。
リリシアの口から出てきた言葉を受けてようやく今更になって僕はミリア様の好意に気づく。
ミリア様は学園の模擬戦で僕が戦わないように仕組んだりとやけに過保護だったり、なんかところところですごく甘かったり、ちょいちょい距離が近かったり。
よく考えてみれば兆候らしきものはあったのだ……僕が鈍感過ぎて気づかなかっただけで。
「はぁー」
僕は深々とため息をつく。
「何かあればいつでも言ってね?人間社会が嫌ならうちの国に来てもいいし。ロマルスなら絶対にエルフに受け入れてもらえるだろうし、僕も王族として最大限のバックアップをするからさ。隠居生活にはもってこいだよ?うちの国。自然豊かでさ」
そんな僕へとリリシアは寄り添ってくれる態度を見せ、優しく声をかけてくれる。
「ははっ、いつか妹と一緒に頼りになるかも」
「……う、うん。いつでも頼りにして!」
僕の言葉にリリシアが笑顔で頷いてくれる。
あぁ、親友の心意気が実に僕へと染みわたる……だからこそ、というのもあるが。
僕は少しばかり複雑な思いを抱きつつもリリシアとの会話を続けるのだった。
あとがき
主人公の鈍感設定への補足。
主人公はとんでもないくらいのイケメンで何をしても基本的にはイケメンだからオッケーと好意的に受け止められるような存在。
元々鈍感だったことに加えて、そもそもとして前世での自分を引きずっているせいで自分がとんでもないイケメンであるということに実感があまりなくそれを軽視しているため、自分の人気に気づけていない。
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