第3話

 学園の中で大暴れしているアル・レテンの構成員たち。


「駄目だッ!来るなッ!?ゼロがッ!」


「ひ、ひぃ!?」


「もうだめだぁ」

 

「……ちょっと懐かしいな」

 

 かつて、僕がアル・レテンで活動していた頃のコードネームである『ゼロ』の名を叫びながら逃げ惑う彼らを追いかける僕は久しぶりに聞いた自分のコードネームにどこか懐かしい思いを抱きながら容赦なく構成員たちを叩き潰していく。

 元々アル・レテンの幹部であった僕にとって所詮はただの下っ端でしかない彼らなど敵ではない。


「いやだ……嫌だァァァァァアアアアアアアアアア!!!」


「く、クソったれが……」

 

 血を自由自在に操り、射程など関係なしに目に映る者すべて片っ端から殺して回る僕はまさに無双チート状態。

 圧倒的な力を誇っていた。


「ここから先には行かせないぞッ!ゼロォッ!!!」


 そんな最中に響き渡る男の声。


「見つけた」

 

 声が下方向へと視線をやると、そこにいたのは僕の知己であり、幹部の座を持つ男が率いる一団であった。

 僕は一瞬にして彼の周りにいた有象無象を消し飛ばし、情報の宝庫とも言える幹部である男を地面へと叩きつけ、笑みを浮かべる。


「……ばか、な」

 

 何も反応できないままに頭を僕に捕まれ、地面へと叩きつけられた男の口から漏れる驚愕の声。


「情報、貰っていくよ?」

 

 僕が得意とする。

 というかヴァンパイアという種族単位で得意とする精神干渉魔法を発動し、幹部の男が持っていた情報のすべてを奪い取る。


「……こ、こんな」


 一方的に叩きのめされ、圧倒的な力の差を見せつけられる中で幹部の男は信じられないと言わんばかりの表情を浮かべ、戦慄の声を漏らす。


「僕、一度足りともアル・レテンで本気出したことないから」

 

 そんな男へと容赦ない一言を叩きつけた後に首を蹴り飛ばした僕は意識を奪った情報の方へと向ける。


「……下水道か」

 

 今回の襲撃を首謀者。

 僕は学園を襲撃しているアル・レテンの幹部を含めた構成員たちすべてを配下を率いるトップの情報を得ることが出来た。


 その情報によると首謀者がいるのは僕がいるところのちょうど真下。

 僕は下水道がある己が真下へと視線向ける。


「……いるな」

 

 地面へと染みわたらせ、下水道にまで到達させた血。

 その血より、ちょうど自分の真下に人がいることを掴んだ僕は躊躇なく地面へと穴をあけ、下水道へと直接繋がっている穴を作り出す。


「というか、まだ全貌が見えないな。あの子がミレイユの席に座ったわけではないだろうし……誰が今のアル・レテンのトップなんだ?」

 

 幹部であったはずの男。

 かなり上の方に位置するはずの男が持っている情報すべてを抜き取ってもなお、知ることの出来なかった黒幕の存在。

 それが何者であるのか。

 僕は首をかしげながら、下水道へと落ちていくのだった。

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