第25話
数多の貴族の反対を押し切り、僕を使うことを決断した国王陛下。
僕は国王陛下を守る近衛騎士に周りをガッツリ囲まれながら、王妃陛下のおわす部屋へと向かう国王陛下のあとに続いて歩を進めていた。
「ここだ」
一つの扉の前に立った国王陛下は躊躇なく扉を開け、中へと入っていく。
「こ、国王陛下!?お待ちをッ!病がうつるやもしれません!」
それを受け、僕を囲んでいた近衛兵の一人が動揺しながら声を上げる。
「だとしてもロマルスならば治してくれよう」
「感染症であればどのような病であっても治療可能にございます」
「とのことだ。下がっていろ」
「……は、ハッ」
国王陛下の言葉に近衛兵は大人しく頷く。
「お前ら、仲に入って壁際に立ち、我らの護衛を。ロマルスは我と共に」
「承知いたしました」
「「「ハッ」」」
国王陛下の言葉に全員が従って動く。
「……期待、している」
「お任せください」
僕は自分の耳元で囁く国王陛下の言葉に頷き、広い部屋の中心に置かれた天蓋つきのベッドに横たわり、瞳を閉じている女性……王妃陛下の前へと立つ。
僕は膝をついて跪き、寝ている女性よりも自分の頭が低くなる位置を陣取り、そっと王妃陛下の手を取って自分の血を流し込んでいく。
「……問題なく治せますね」
パッと確認した感じ王妃陛下は細菌性の病気に罹っている様子。
これなら手術も要らないし、唯一治療に時間のかかる遺伝子疾患でもない。ヌルゲーだ。
「ほ、本当か!?」
「えぇ……」
僕はナイフを取り出し、自分の腕の皮膚を切り裂く。
「……ッ!?」
腕の血管が損傷されたことで噴き出す血をすべて操作し、王妃陛下へと纏わせていく……目に見える形で何かしらをやった方が良いだろう。
僕は目に見えるほどの大きさにしている血液で王妃陛下を纏わせ、目に見えぬほどに小さくした血液をその体内へとしみこませていく。
「終わりました」
治療行為は一瞬だ。
王妃陛下の細菌をすべて回収し、すべての血を自分の中へと再回収。傷も再生し、これで正式に治療行為はすべて終了となる。
「も、もう?」
治療を終わらせた僕の言葉を聞いた国王陛下が思わずと言った表情で困惑とともに動揺の声を漏らす。
「……ん、んん」
そして、その国王陛下の動揺はこの場に上がった女性の声を前に押しつぶされる。
「アレーナッ!!!」
「……あ、あな、た?わ、私は……」
「お、おぉ……」
細菌を取り除くだけでなく、弱り切った体も完全回復し、何なら病に罹る前よりも健康体になった王妃陛下がベッドに横たわらせていた体を起こし、それを見た国王陛下が感動の涙を流す。
「……」
そんな感動の再開が繰り広げられる傍ら、僕は部屋の隅へと慌てて移動し、結界を発動するのだった。
あとがき
初レビューきちゃー!!!!!!上から目線だろうが何だろうが全然おっけー!!!書いてくれるだけで狂喜乱舞よ!
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