第23話
何故こんなことになっているのだろうか?
「あまりにも危険だ!いくらアレイストル辺境伯夫人の病を治したからと言って王妃陛下に近づけるなど!」
「その通りですぞ、陛下!こやつは元々スラムのダンピール。王妃陛下に近づけるなど何が起こるかわかりませんぞ!」
「それでは君たちはこのまま王妃陛下が亡くなられることを良しとするのか!少しでも希望があれば縋るべきであろう!」
「希望などどこにある!このスラムのダンピールが希望足り得るというのか!」
本当になんでこんなことになっているのだろうか?
多くの貴族が押しかけ、玉座には国王陛下まで座っている総動員体制の玉座の間。
その中央で国王陛下に向かって一人、頭を下げ続けている僕は貴族たちの争い合う声を聞きながら世界に絶望する。
「我が妻は助かった。私の希望になってくれたが?」
「アレイストル辺境伯閣下は少々迂闊すぎる!」
「そう簡単に信じるなど!」
アレイストル辺境伯閣下は僕のことを庇ってくれているが、そもそも僕の味方となってくれそうな貴族の方はほとんどいない。
多勢に無勢だ。
……なんで僕を王宮に呼んで、その僕を無視して王妃陛下に近づけるか、近づけないかの議論をしているの?
ちゃんと話が固まってから僕を呼んで?生きた心地がしないよ?
「そもそもの話として、ヴァンパイアは病魔を操ったとの記録も存在する!この卑しいスラムのダンピールが王妃陛下に近づくため、王妃陛下へと病をかけた可能性もある!」
「おぉ。その可能性は大いにあるでしょうな!既にこの者はミリア第三王女殿下に近づくだけでは飽き足らず、学園内部で更に交流を増やしている様子!王妃陛下に近づき、恩を売るなど言語道断!」
「アレイストル辺境伯閣下も騙されている可能性が!」
……おっとぉ?この流れは不味くないか?
僕はこの場の流れの不味さを前に冷や汗を垂らす。
「今すぐにでもこの男をとら」
「国王陛下!!!」
僕は貴族の言葉を遮って声を張り上げる。
「自分であれば王妃陛下を治すことが可能です!!!」
この流れはヤバい……かといって止められる人も止めてくれる人もいない。
であれば僕が動くしか……ッ!!!
僕は吐きそうになりながらも声を張り上げた……無理ならもうこの国からすら逃げよう。
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