第22話
治療行為自体は爆速で終わった。
ダンピールの力でもってすればウイルスの除去など簡単である。
「これで治ったはずですよ……一応、再度病院に行って検査してももらってください。治っているかどうか確認することをお勧め致します」
「え?も、もう終わったのか?」
「ヴァンパイアの生まれ持った力にございます」
僕は驚愕するアレイストル辺境伯閣下の言葉に頷く。
「……私は、本当に治ったの?」
「はい。無事に治りましたよ」
僕は呆然としているアレイストル辺境伯夫人へと笑顔で告げた後、再びアレイストル辺境伯閣下の方へと視線を向ける。
「それと今回の治療における謝礼と代金は頂きません。これからも健康に暮らせることを祈っております」
「む?ここは払わせてもらいたいのだが」
「いえいえ、いただけません……今後とも当店を愛用していただけるだけで十分にございます」
「……そうか」
アレイストル辺境伯閣下は僕の言葉に頷く……少しでも僕が今回の治療行為で利益を得ないようにしていることをなんとなく察してくれたのだろう。
「それではそうすることとしよう……また、マッサージを受けに来る」
「あなた?」
「これをロマルスくんが望んでいるのだよ。また、マッサージを受けに来よう。それで良い……今日のところは帰るぞ」
「またのご来店を心よりお待ちしております」
僕はお店から退出していくアレイストル辺境伯閣下夫人に深々と頭を下げ、二人を見送ったのだった。
■■■■■
アレイストル辺境伯閣下夫人の病を治した次の日。
学園をずる休みし、お店の掃除並びにリリシアから貰ったエルフの霊薬を商品棚に並べるなどの作業をしていた僕の元に。
「ロマルス殿!ここにダンピールのロマルス殿はおるか!」
やたら小綺麗な格好をした一人の男性が店の中に入ってくる……ま、まだ準備中ですよぉー。
「ろ、ロマルスは自分ですが……」
「貴方でしたか……貴方に伝令がございます」
「で、伝令」
「王宮より伝令。汝に王妃陛下の病の治療を命ず。直ちに王宮に来るように」
伝令より告げられる言葉。
「……へ?」
うにゃぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああ!?
「お分かりかと思いますが、拒否権はございません。私と共に来ていただけますかな?」
ほんにゃぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああ!?
「は、はひ」
僕は内心で大きな悲鳴を上げながら、王宮からの使者の言葉に頷くことしかできなかった。
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