第19話
ハイエンドに店を構え、マッサージ店をオープンした僕。
店主がダンピールでなおかつミリア様たちのお墨付きをもらったスラムの人間のお店ということで良くも悪くも話題になった僕の店は幸先の良いスタートを切った。
客先も良く、門番としてミリア様たち三人が常に店の中に滞在していたため、何か問題ごとが起こることもなかった。
そのおかげで開店から一週間。
何の問題もなく、スムーズに大金を稼ぐことが出来ていた。
しばらくすれば僕と言う珍しい存在がゆえの話題も落ち着き、客足は減るだろうが、それでも一部のお客さんは残ってくれるだろう。
もう学園になんて行かなくて良いのではないか?
このお店さえあれば既に十分な可能性も……まぁ、リリシアという友達も出来たし、コネを作っておいて困ることはないだろうから学校には行くけど。
コネは時として金や武力を上回る最高の武器となるのだ。
とりあえず今は未来のことを考えるよりも、自分の手元にある大金に喜ぼう。
「ふひひひひひひひひ」
「お兄様……笑い声が汚いです」
「これが笑わずにはいられるだろうか?この一週間で僕が今までの長いスラム生活で稼いできた数十倍の金が稼げたんだぞ?」
僕はぼろっちい一つの丸テーブルの上に広げられた大量の金貨を前に笑みを漏らし続ける。
スラムで暮らしていた頃では考えられないような大金だ。
アル・レテンの構成員だった時でもこんなに金は貰っていない。
今、僕は自分の人生史上最も金持ちだ……そして、その記録はこれからも伸び続ける。
「このペースが続くことはないだろうけど……これだけの金があればアスカの病気を治せる」
これまでは症状を緩和させるだけの薬しか買えず、アスカの病気を治せなかったが、これだけあればアスカの薬を完治させる高い特効薬も買えてしまう。
実に素晴らしい……本当に素晴らしい。
「家具なども買えますね」
「うん、そうだね。当然日々の食費も……これで僕たちはもうハイエンドの人間。持たざる者から持つ者となった……ふひひひひひ」
「そうですね……お兄様、ありがとうございます」
「まぁ、僕の力か、って言われるとちょっと首をかしげざるを得ないんだけど」
「お友達のおかげ、でしたっけ?」
「うん、そう……まぁ、偉い人に好かれるのも僕の力ってことで。ここまで来ればもうイージーゲーム。後はアスカと二人で仲良く暮らすだけだよ!」
「はい……そうですね、お兄様」
僕の言葉にアスカが笑みを浮かべて頷いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます