第17話

 平和に学園生活を送っていた僕はいきなり朝のHRの時間にミリア様、カミア様、サレリア様に捕まり、連行されていた。


「おぉ……凄い」


 とある場所へと連行されてきた僕は感嘆の声を自分の口から漏らす。

 

「でしょう?私たち三人の力を最大限に活用して作ったものよ……この土地も上の建物も正式に貴方のもの……固定資産税は十年分払っておいたわ。現行の制度じゃ払える年数がこれで限界だったの、一生涯ぶん払えなくてごめんなさいね」


「い、いえいえ。そもそも土地と建物を貰えるだけでも十分です。税金まで払ってくださりありがとうございます」

 

 結構心配だった税金問題がだいぶ軟化したことに僕は驚きつつ、ミリア様へと感謝の意を示す。

 

 連行された先で僕が目にしたのは一つの建物。

 一階は店で、二階は移住区となっており、見た目はハイエンドに相応しい立派で洗練されたものになっているような建物である……え?建物を作ってあげるよって言う話をしたの一、ニ週間前とかじゃなかったけ?出来るの早すぎじゃない?

 これが王侯貴族の本気なのか……え、やばっ。


「ふふふ。自慢の建物よ。派手さはないけれど、機能美に優れた建物。建築に携わった私としては満足よ……ふふふ、美しい」


「……出来れば黄金にダイヤをちりばめ、色鮮やかでド派手な建物にしたかったのだが、二人に猛反対されてしまった……そんなにダメなのか?」


「ミリア様、サレリア様。ありがとうございます」

 

 僕はカミア様の発言を受けて、ほぼ反射的にそれを止めてくれたという二人へと深々と頭を下げる。


「おい?」


「妥当よ」


「当然じゃない」


「……そうか、そうなのか……ダメか」

 

 僕たちの反応を見て、カミア様はしゅんっと視線を下げる。 

 カミア様、自信過剰のナルシストで傲慢にして豪胆な目立ちたがり屋なのに、自分と仲良い人から否定されるとガチでへこんだりと、かなり弱気なのがギャップ萌えで可愛いんだよな。

 

「カミアのアホは放っておきましょう……早く中に入ろ。自慢の中を見せるわ。一応メインはマッサージ店。治療行為も出来るような作りにしているわ」


「わざわざありがとうございます」

 

 治療行為を商売としてやることはないだろうが……それでもあるとアスカを診るときに役立ってくれるだろう。


「さぁ!ルームツアーと行きましょう!自慢の様相を見せるわ!」


「よろしくお願いします」

 

 僕は意気揚々と建物の中へと入っていくミリア様の後を追って、自分も建物の中に入るのだった。

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