第14話

「そうね……確かに私たち三人が協力した方が注目度は上がるわね」


「良いではないか、これ以上ないほどに目立ちそうだ」


「大きくなるのは良いことか……」

 

 三人の話し合い……最初の頃は罵り合いが混じっていた三人の話し合いはいつしか、三人で協力してバックアップした方が目立つし、良いじゃん!という結末に着地しそうであった。


「そ、そ、その……しょ、少々お待ちしてもよろしいですか?」


「え?何?」


「お、御三方の心意気は非常に感謝しているのですが……さ、流石に三人からのバックアップとなると、そのぉ……ですね?」


 王族であるミリア様。

 公爵家は実質王族枠なので、貴族として考えると最高位である侯爵家であるラミルス侯爵家とローエンス侯爵家。

 この三家からのバックアップとなると……もはや目立つとかいう領域ではない。

 

「何を迷うことがある?目立つではないか。我らと共に目立とうぞ」


「じ、自分はスラム出身なのです……どこまで行っても私は最底辺でしかないのです……ミリア様からの支援ですら過分なのです。お、御三方からの支援となると、ですね……目立つは目立つでも悪目立ちになりそうなのです」


「心配せぬともロマルスは美しい……そう、最底辺などと自らを卑下する必要はない」


「うむ。そうであろうとも」


「そうよ。貴方はもっと自分に自信をもって良いわ。ここで私たち三人からの支援を受け、成り上がるのよ!」


「な、成り上がるには時間を有するのです……ッ!普通でしたら!」


 三人からの支援を受けたスラムの餓鬼がハイエンドに店を構えることを快く思う人がどれだけいるだろうか?

 ミリア様だけであればまだ良い……彼女であれば僕に助けられたという話もあるし、彼女自身の評判もまだそこまで高くないので、彼女であれば仕方ないよね?という雰囲気が出来るから。

 だが、他の二人はダメだ。なおかつ三人でとか更にアウトである。


「確かにその通りかもしれないわね……でも、拒否権があると思っているのかしら?」


「うんぐ!?」


「これはお礼よ。でも、それ以上に私はロマルスに本来あるべき評価を受けてもらいたいし、何よりもあなたを警戒しているの。再びアル・レテンの構成員へとその身を落とす可能性もあるでしょう?なら、どっぷりハイエンドに浸からせるわ。安心して、貴方ならたとえ悪目立ちしてても実力で黙らせられるわ」

 

「……うなぁ」

 

 素晴らしい笑顔で告げるミリア様を前に僕は情けない声を上げることしかできなかった。

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