第3話
僕がミリア・フランクロに絡まれ、すべての注目をかっさらった中。
「たとえ王女様であってもこの我より目立つのは許さんぞ?そこの少年も同様だ」
「おぉ……美しい。それほどまでの美しさ。始めて見た」
「おい、ちょ!?」
僕たちの方に注目が集まる少し前にこの場の注目の的になっていた三人のうち二人が近づいてくる。
……どんどん面倒な状況になっているって!
僕の方に近づいてきた二人とも普通にゲームの主要人物というかメインヒロインなんだが!なんで僕のところに集まるんだよ、帰れ!
絡まれていたエルフの男の子もゲームにも出てくるような子だし!
「こ、ここら辺で失礼しますねぇ。私は」
二人の意識が僕と少女の方に移ったことから逃げるようにして絡まれていたエルフの男の子は足早にこの場を立ち去る。
悲しいことに残った他の二人はエルフの男の子を追うことはなく相も変わらず僕の前に立っている。
「……これは失礼しました。貴族のお二方。私のような下賤の身が視界に入ってしまい申し訳ございません。お目を汚してしまいました」
僕は二人に対して深々と頭を下げてまず謝罪の言葉を口にする。
「今すぐにでも御身から離れますので」
「待つのだ」
そして、サクッとこの場から立ち去ろうとした僕を美しいもの大好き少女が肩を掴んで止める……ちっ。
「君ほどにうつ」
「待って欲しいわ。こんな目立つ場所で話しかけた私も悪かったけど、先に話があったのは私なの。順番は守ってちょ……ん?別に私は悪くないじゃない。貴方たちは喧嘩をしようとしていたのだし」
僕を掴んで話しかけてきた少女に対して、ミリア・フランクロがその声を遮って自分の存在をアピールする。
「悪いのは話しかけたことではなく、我よりも目立ったことである」
そんなミリア・フランクロの言葉に食って掛かったのは美しいもの大好き少女ではなくここに残ったもう一人の少女。
「王族が目立つことは当たり前でしょう?」
「ほう……不吉なる者と呼ばれる貴方がよく話す」
「たとえ、世間からどのような目で見られ、どのように言われようとも私は王族であり、その心と誇りに陰りが差すことはないわ」
目立ちたがりの巨女に対して少女は堂々たる態度で臨む。
この人ってば普通に肝っ玉座っているんだよね。
「どちらが目立っているかなどどうでもいい。私はそんなことよりもこの美しい少年に用があるのだ。下らぬ諍いであれば別でやってくれ」
「ほう?」
「だから、先に話があるのは私だって言っているじゃない」
「……」
なんでこんなことになっとるん?
学園の中でもトップに位置するくらいキャラの濃い面々に囲まれる僕は自分の不運を呪うのであった。
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