第11話
こんなところがあったのか。
「う、ぐっ……油断、した」
ミレイユの攻撃によって地面が崩壊し、かと言って封印魔法で体を封じられていた上にミレイユからの風魔法までも受けていた僕は落下する自分の体を止める事ができず、そのまま自分が認識していなかった大広間へと落ちることとなってしまったのだ。
「……それで?一体ここは」
大広間へと落ちてしまった僕は慌てて立ち上がり、周りを確認する。
……敵はなし、その他罠等もなし、か……何なんだ、ここは?
自分が落ちてきた大広間が何だったのかわからずに首を傾げる僕はそれでも一旦思考を止め、背中から血の翼を展開する。
少女がロンドに奪われてしまったのだ……とある儀式に使うことから今すぐに殺されることはないと思うが、それでも何があるかはわからない。早く戻らないと。
「よっと」
僕はこの場から飛び上がり、自分が落ちてきた道のりを遡って元の場所に戻ろうとする。
「ァァァァァアアアアアアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」
だが、そんな僕に対して鼓膜を破るかのような勢いの咆哮と投石される大量の小さな石が向けられる。
「……ッ!?どこから!」
回避も防御も間に合わなかった僕は投石をそのまま喰らい、地面へと呆気なく落とされる。
「……ふー」
投石によってズタボロになった体を再生しながら僕は再び立ち上がり、攻撃を行ってきた主の方へと視線を送る。
「……ァ、アァ……ァァァアアアアア」
そこにいたのは高さ5mにも届きそうな巨大な人間。
何か薬物でもやっているのか。
口から泡を吹き出し、訳の分からぬうめき声を上げながら血走った目を彷徨わせる彼……おそらくは亜人の一種である巨人族の男であると思われる男を僕は睨みつける。
い、一体どこにいたんだ?まるで気配の感じ取れなかった相手の登場に僕は困惑の表情を浮かべながらも戦闘態勢を取る。
「巨人族……面倒な」
巨人族は頑丈で屈強な肉体を持ち、圧倒的な身長の高さを持った種族である。
だが、その代わりなのか一切の魔法を使うことが種族的に不可能で基本的に魔法の使える人間と戦うとただの頑丈な的でしかなくなるのが巨人族である。
僕が巨人族に負けることはない。
しかし、僕が巨人族に勝つのには相当な時間を有するだろう。
「ふぅー」
僕は深々と息を吐きながら立ち上がり、血を操ってボロボロになってしまった自分の代わりの服と武器となる刀を血で作り上げる。
「無事でいてね?」
僕は本腰を入れて巨人族を単騎で落とす覚悟を決めながら、ボソリと呟いた。
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