第2話
デカすぎる学園に戸惑い、何処に行けば良いのかわからずにいた僕だったが、そこら辺にいた先生が困っている僕を見かねて助けてくれ、僕は無事に手続きを行う受付の方へとたどり着けた。
そのあとはもうサクサクだ。
何の問題もなく受付をを行うことができた。
この世界の言語は問題なく修めているし、前世で一般的な教育を受け、なおかつ高校受験の際に色々と手続きやら何やらもしたことがある僕は受付の人に驚かれるくらいスムーズに、平民とはとてもじゃないが思えない丁寧さと素早さで手続きを終わらせた。
「……何か買って帰ろうかなぁ?」
我が家のお財布事情に僕が頭を回していると、街の外れ。
中央の通りから外れる裏路地の方から少女の悲鳴が響き渡ってくる。
「……おっ」
誰かの死も、誰かの犯罪も、誰かの悲鳴も。
ありふれたものでしかないこの街じゃ少女の悲鳴くらいで足を止める者はおらず、変わらず平民は暮らしを営んでいる。
だがしかし、今日の僕の気分は一味違った。
「助けに行きますかぁ」
学園で手続きを終えた帰り。
随分と懐かしい文明の香りを嗅いだ僕は特に深い意図も考えもなく、悲鳴が聞こえてきた裏路地の方へと足を向けた。
■■■■■
遺体は転がっているものの、誰かしらが防臭剤を撒いているおかげである程度匂いが緩和されている表の通りとは違い、何の処理もされていないせいで気分が悪くなるほどの腐敗臭が漂っている裏路地を僕は歩く。
「おや?」
少女の悲鳴が聞こえてきた場所にたどり着いた僕は困惑の声を上げる。
「いや、やめ……やめてぇ!」
「こんな掃き溜めに来てやめてとは!」
「女だ……女だ……」
「はぁ……はぁ……はぁ……」
裏路地に住み着く定職に就かぬ者。
捨てられる生ゴミや雑草、虫……何なら人間まで食べて腹を満たし、犯罪を犯しながら生きている。
そんな男たち三人が一人の少女を性的に襲おうと手を伸ばしていた。
ここまでならそこまでの疑問はない。よくある光景だ。
問題なのは少女が着ている服……地味めの衣服を選んではいるが、それでも隠しきれない上質さと綺麗さを見せる衣服を身につける彼女は間違いなく高級住宅街の方の住人であろう。
貴族の娘か、大商会の娘か。
いずれにせよ、なんでこんなところにいるのか疑問符しか湧かない人である。
「何しているんだ?」
僕は疑問符を頭に浮かべながら魔法を発動。
少女へと襲いかかる三人の男たちを風で吹き飛ばす。
「……へ?」
「大丈夫?」
くすんだ金髪に青い瞳を持った少女。
男たちの汚い手で触れられていたせいで服が汚れ、乱れてしまっている少女の方へと僕は話しかけた。
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