第2章「光が差す。暗闇の中に」

第2章第1話「少女は信じない」

いつからだろうか。私が追いかけられたのは。

いつからだろうか。私が要らなくなったのは。

いつからだろうか。私が助けを求めなくなったのは。

あぁ。もう、私はこの世界からいなくなるでは無いだろうか。

「大丈夫?」

「…。」

誰だろう。

男の人。でも、あの人達とは違う。

「怪我してるよ」

「…。大丈夫です」

「こういう時どうすれば良いんだろう。回復持ってないし、魔法とかも使えない」

「…聞いてますか?大丈夫って言ってるんです」

ここまで言えば、諦めてくれるだろう。

「ちょっと、着いてきてくれる?」

「ちょ、」

何故か、私の事を連れて、表路地に出ようとする。あぁ、結局この人も、あの人達と同じなんだ。着いたのは、ショップ。

訳が分からなかった。

「おじさん。ポーションちょうだい」

「おじさんじゃなく、お兄さんと呼んでくれたら、オマケするよ」

「良いねお兄さん。でも、オマケはいらないよ」

「そうか。じゃあ、代金は2ゴールドだ」

「お兄さん。俺も文字が読めない訳じゃないんだ。ちゃんと払うよ。」

代金の所には5ゴールドと書かれていた。

「お前さん、いい人だな。名前は?」

「無いよ。俺はただの勇者だ。」

「ほぉ、勇者さんか。これは、何か幸せな事が起こるな」

「そうだな」

そう言って、彼は帰る。

「おい、勇者さん。金を数え違えてるぞ」

「なに、ちょっとした給料だ。それで美味いもんでも食え」

「ありがとう、勇者さん」

「…。良かったの?」

「あぁ。金はたんまりある」

「本当?」

「俺が元いた場所の硬貨とこっちの硬貨を合わせればな」

「…。こっちの硬貨は?」

「俺は、今一文無しだ」

「バカじゃないの?」

「俺でも、思う」

「…。冒険者ギルドに行けば、他国の硬貨でも、こっちの硬貨に変えてくれる」

「!ありがとう!」

「…。」

この人はお人好しの振りしてるんだろうな。

本当はお金も、泊まる所もあるんでしょ。

そうやって、嘘ついて、私を黙そうとしてるんでしょ。

もしこれが本当の姿形だったら、

私は、この人は大丈夫だろうかと心配になる。

「俺は、交換した硬貨で、どこかに泊まろうと思うけど、君はどうするの?」

「…」

「そうか。じゃあ、君の分も、お金だすよ」

あーあ。夜に襲われる。でも、もう、

いいや。

「行こう。」


「ぐかー、ぐかー、」

爆睡してる。

「何で?」

自然に零れた。

「これは、本当の…?」

分からない。けど、

疑わないと、信用しないと、

私は、また騙される。

いつからだろうか。私が人を信じれなくなったのは。

もう、この心の傷は、染み付いた人の汚れは、取れない。

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