第2話 サブリミナル
仕事の合間によく利用する某大手カフェ。特別性はないものの大手だしよくいる顔代表の僕ですら覚えてくれるスタッフ教育の余念のなさが気に入りよく利用している。加えてスタッフさんがアットホームで仕事ができて気が利く女性が多い印象で息抜きとしての下心、懐のあたたかい社会人になったいまオアシス的な意味合いでも利用している。健康を考えてブラックコーヒーがほとんどだがたまにアーモンドミルクラテを頼んでいる。大は小を兼ねるスタイルで1番大きいサイズ、そして猫舌なためホットは控えての注文。滅多にないが季節商品を頼むとお気に入りまたはよく対応してくれているであろう店員さんであればレジや提供の場面で嬉々となって会話を弾ませてくれる。癒しは社会人に適度であれば必要なのである。こちらも職業柄顔と名前を覚えるのは得意なつもりだが利用時間のばらつきがあるためそして店側が僕個人を覚えているくらいの認識しかない。そしてなんだかんだで日常のご褒美的な意味合いが強いため興味深く意識を働かせない上部の会話で終わる。
今日も仕事が重くひと段落した営業帰り、仲良しのスタッフに癒されようというやましい気持ちで立ち寄ったのだった。列に並ぶと親しみのあるスタッフさん達はドライブスルーの対応やらバックヤードで忙しそうにしていた。レジは見覚えのあるスタッフだと思ったのだが機械の操作や接客の手順からして自分の思い違いで新人なのだろうと推測し初めてで混乱させたらまずいとメニューを見て注文を伝えようと思い直したのだ。そんな矢先にスタッフの女性は先輩に前情報をもらっていたのかいつも頼む内容でいいか満面の笑みで尋ねてきた。さすが、教育されてるなぁと感心を抱く反面目の奥まで覗くような視線が,眩しくて商品を受け取りそそくさと駐車場へ向かった。
「店で変なあだ名とか付いてたら嫌だなぁでもだいたいみんなコーヒー飲むだろ」とぼやき車に乗り込み店を後にしたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます