第9話

夏休み。わたしは、この時また別の彼氏が居ました。

前話でお話した彼と別れて、1週間後くらいだったと思います。

この彼とは1ヶ月ももたなかった関係だったのもあり、成り行きを正直覚えていません。


わたしから告白したのは、人生でたった一度。中学生の時にしたのが最後でしたので、この彼からもきっと告白されたのだと思います。


この彼は、これまで付き合った中でも一番人間性に欠けてると思ってしまった記憶があります。

あんたが言うなと思うかもしれませんが、そんなわたしでもそう思ってしまう程の人でした。


わたしはヤンチャしていたし、異性関係はだらしないし、人の心を通じ合わせ相手の立場になって考えることが出来なかったけど、わざと人を傷付けたりすることは嫌いでした。


例えば、中学生の時で言うと後輩イビリ。イジメ。

このような明らかに人を傷付ける行為というものが大嫌いでした。


わたしは、自分自身が酷い人間だったにも関わらず、こういった正義感だけは強かった。


この後、虐待とかDVとかそういった関係にも関わっていきますが、こういったことは大嫌いでした。


この彼は、高齢のおばあちゃんに平氣で暴言を吐く自分の後輩に何も言わなかった。

ある日、とあるデパートの駐輪場を歩いていたおばあちゃんが居ました。その側で、何が原因だったのか覚えてませんが、彼の後輩が自転車を蹴飛ばし駐輪場の自転車がドミノ倒しに倒れていったんです。

側を歩いていたおばあちゃんは、それに驚いて転んでしまいました。

そんなおばあちゃんに、その彼の後輩は暴言を吐いたんです。


信じられませんでした。こういった時は、中学生の頃のような正義感が出ました。


わたしは、すぐにおばあちゃんに駆け寄りサポートしました。

その後、その光景をヘラヘラしてただ見てるだけの彼に幻滅し、後輩を叱りました。


「二度とこういうことをするな!」

そう言って、自転車を片付けさせました。


この後輩たちには「姉御!」と呼ばれていました。当時のわたしは、これは氣持ちよく感じていていたのですが、今思うと正直くだらなすぎる優越感だなと思います(笑)


この後輩たちは、自分の先輩の彼女というだけで、わたしには逆らっちゃいけない。先輩を立てる。という、ただこれだけのことで「姉御」と慕っている風だっただけ。


当時のわたしは、この薄っぺらさに氣づきませんでしたが、彼のことは、付き合いはじめてから彼の良いところを殆ど見つけることができなくて、この一件で別れたと思います。


ここからが、わたしの人生を大きく変えていく流れが始まります。

わたしがコンビニでバイトしてること、覚えてますでしょうか?(笑)


夏休み中もバイトをしておりました。

実は、バイト先でもお客さんに声を掛けられるということがちょこちょこありました。


その中でも、この夏休み中にアプローチしてきた人はとても激しかったです。

わたしは初めて成人した大人の男性と付き合うことになります。


この男性は韓国人の人でした。名前はシウということにしましょう。(韓国人男性によくある名前から参照(笑))


シウは、2mくらい身長があって体格も大柄でとても大きな人でした。

よく見ると、目は二重でパッチリ可愛いんだけど髭も生えてるし大っきいし、かみも伸ばしてて1つに束ねてる、外見からしてかなり変わってる人でした。


わたしの友達には「どこのマフィアの人?」と言われました(笑)


シウは、とにかくアプローチがわかりやすく、ほぼ毎日コンビニに来て、わたしに話しかけてきました。


ある日「今日は何時にバイト終わるの?」と聞かれて、その日は確か13:00までだったのでそう伝えると「じゃあ、バイト終わりにちょっと話さない?」と言われました。


すぐに返答できずにいると「とりあえず店前で待ってるから。そこでもいいから少し話そ。」そう言って店を出ていきました。


なんとなく、この人はわたしに氣があるんだろうなと分かっていて、毎日会いに来てくれるというのが氣分良かった。

でも、外見からの先入観もあり手放しに分かりましたとも言えず・・・多少なり警戒心がありました。


シウは、とてもお喋りで話上手。面白くトークすることが今まで出会った人の中でもピカイチで、よく笑わせてくれました。


シウと話すことは楽しかったです。

かといって、シウに恋愛感情はなかったのですが・・・(笑)

バイトが終わって店を出ると、本当にシウは店の前で待っていました。


「警戒するよね(笑)だからここでいいよ。」そう言って、店の駐車場の端っこの方で座って少しお話をしました。


「凄く水蓮は可愛くて魅力的だと思う。正直一目惚れしました。」こんな風にド直球に告白してきたのはシウが初めてで、恋愛感情はなかったのに嬉しかったし恥ずかしかったのを覚えてます。


「試しにでもいいから付き合って欲しい」そう言われて、わたしはOKしました。

自分で書いていて、本当にチョロい女だなと思ってます(笑)


このシウとの関係が始まってから、わたしの世界は大きく広がりました。

いい意味でも悪い意味でも(笑)


シウはスロットやパチンコが大好きで、パチプロみたいなことをしていました。

仕事という仕事をしていなかったんですね。

それなのにお金を持っていました。

シウのお父さんは日本人でヤクザさんだったことを後に知るのですが、お母さんが韓国人で家がお金持ちでした。


シウは、韓国から日本に来たそうで、韓国語も日本語もペラペラ。わたしより日本語が上手でした(笑)


韓国に住んでいた頃、シウは大きな仕事をやっていたそうですが、あまり詳しく話されたことはなく、不思議とお金を持ってる人という印象でした。


シウがスロットが大好きだったので、わたしはシウと付き合うようになってからパチンコに行くようになりました。


わたしのバイトが終わるとパチンコに行くという流れがデフォに。

お昼頃にバイトが終わる時は迎えに来てくれて、夕方にバイトが終わる時は、シウがスロットで当たってなければ迎えに来るという感じでした(笑)


当たってると手が離せないので、その時はわたしが徒歩で行きつけのパチンコ屋さんまで行きました。


そのお店は、割と当たる台があったので、スロットやパチンコに興味がなかったわたしでも、なかなか楽しめました。


それに、わたしにとってお金があるというのはとても魅力的でした。

家は貧乏だったので、豪華な食べ物も欲しい物も買えなかったし、これまでに付き合った人はみんな10代の学生だったからお金がなかった。


シウは、わたしが食べたことのない高価なものを食べさせてくれたり、服を買ってくれたり、カラオケやボーリング、ゲームセンター、ディズニーランド。

色んなことをしてくれました。


そして、母国の韓国のことも教えてくれたりました。

簡単な韓国語や、韓国の美味しい料理を教えてくれたり作ってくれたり。

韓国の面白い映画も、シウが通訳しながら観せてくれたこともあります。


シウは、わたしにとって新鮮なことばかりでとても楽しかった。

それも2ヶ月程で関係が終わってしまいましたが・・・それでも、シウと付き合ってる期間は色んなことが起こって、知らない世界を沢山知った、わたしにとって大きな学びとなる体験となりました。


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