第6話 昔みたいに
「……」
//不安そうに
「--えっ、俺も昔から好きだった⁉︎」
「そ、そうなん⁉︎ そ、そんなん信じられるわけないやん! そんな素振り1回も見たことないし……」
「え? 気付かれんように振る舞ってたから当たり前?」
「なんやろ……。自分が言ったことそっくりそのまま帰ってくるこの感じ」
「てっきり君は私になんて興味なくてただ同い年の女の子くらいにしか思ってないと思っとった……」
「あ、あの、む、昔からってことはその、い、今でも私のこと、好きでいてくれてるってことでええん?」
「……」
//遠慮気味に確認する感じ
「はぁぁぁぁぁぁああああよかったぁぁぁあ」
「だ、だってこれでこの告白が失敗しとったらもう君とは本当にこのまま関わりがなくなってまうかもしれやんかったんやに⁉︎ そんなん怖すぎるやん」
「本当に……本当によがっだよぉぉぉぉ」
//耳元で泣きじゃくる
「だっでぎみどの関わりがなぐなっぢゃっだら、私、もう生きていけんかったかもしれへん……」
「大袈裟じゃないよ! それくらい怖かったんやでね!?」
「だがらづぎあえで本当によがった」
//鼻を啜る
「でも私と君が本当に付き合うことになるとは思っとらんかったなぁ」
「兄妹見たいって言われとった私たちが恋人になるなんて誰が想像できたと思う?」
「きっと当時の私たちを知ってる誰に話しても信じてくれやんやろな」
「……」
//優しく微笑む
「私、君が本当に大好きなんやに?」
「思わず撫でたくなっちゃうような、そのくしゃくしゃな髪の毛が好き」
「私のわがままをいつでも嫌がらずに聞いてくれるその耳が好き」
「私を見守ってくれとる大きな目が好き」
「私に優しい言葉をかけてくれる少し小さくて可愛らしい口が好き」
「今日抱き着くまで気付かんかったけど、思ったよりガッチリとした体が好き」
「迷子になった私を必死に探して動いてくれるその足が好き」
「……いつでも優しい笑顔で笑いかけてくれる君のことが、本当に大好き」
「ふふっ。こんなに好きって言われたら元気なくても思わず元気になってまうやろ?」
「とにかく、どれだけ好きって気持ちを伝えても恥ずかしないくらい君のことが本当に大好きなん」
「昔から君を見ると自分でも知らん間に目で追っちゃってさ。友達からよく揶揄われとったんやに? あんた自動追尾型の監視カメラかって」
「そんな私が今さ、君と2人で同じベッドに入ってお話しできて、しかも告白して付き合えちゃったなんて、そんなんテンション上がらずにはおれへんやん」
「……」
//決心を決めるように
「ねぇ、目瞑ってこっち向いて?」
「もうっ。いちいち抵抗しなくていいから。ほら、早くこっち向いて」
「わかったわかった。キスなんて絶対しないから」
「……」
//聞き手の表情を伺う
「んっ……」
//SE 唇同士が触れ合う音
「………………」
//数秒間無音
「ぷはぁっ……」
「何するんだ!? ってキスやけど? 何そんな焦っとるん?」
「女の子はみんな嘘をつきながら生きてるんよ」
「順序も何も、今時高校生ならカップルになってすぐキスするのくらい普通やって」
「なんなら付き合う前からキスする人なんていくらでもおるみたいやに?」
「……だって、好きって気持ちが溢れ出して、抱きついてるだけじゃ爆発しそうやったんやもん」
「や、やからさ……。これからも毎日してほしいな……。キス……」
「毎日じゃないとやだ」
「絶対嫌。毎日じゃないなら君とは付き合わない」
「分かればよろしいっ」
「ん? どうしたの? 急にそんな神妙な顔して」
「……え、僕なんかと付き合っていいのか?」
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