第2話 子育て開始
家に帰りついた魔女は、ノアをミサの持ってきたベビーベッドに寝かせ、ミサはすぐさま部屋の掃除に取り掛かった。
「最後に来たのは2か月ぐらい前だけど相変わらずねぇ。本とか服とかがあちらこちらに、それに埃っぽい。ノアに影響出たら悪いしきれいに掃除するよ。さ、魔女様まずは、窓を全部開けて。」
「わかった。」
2人で協力してお昼頃から掃除をはじめ、魔女の仕事部屋以外の部屋を掃除し終えた頃にはすでに夕方になっていた。
「やっと終わった。一日でこんなに疲れたのは初めて。」
「何言ってるのここからが本番だよ。とりあえず掃除は毎日する事。赤ん坊を育てるならその辺の環境をきれいに保たないとね。ほら起き上がってミルクの作り方とおむつの変え方を教えるから。あっ後、夜はほとんど寝れないからね。」
「そうなの?」
「えぇ、ノアは見たところ生後1か月ってところだろうから2時間に1回は起きるし、ミルク与えたりおむつ変えたりしないといけないし。それに、この時期は夜泣きもひどいからね。まぁ私も協力するから頑張って乗り越えましょ。」
「覚悟はしてたけどやっぱり大変なのね。」
「そりゃそうよ。ほら準備するよ。」
「はーい。」
ミサと魔女は台所へ向かい、ノアのミルクと自分たちの夕食を作り始めた。作っている最中、ノアが起きて泣き出した。魔女はすぐさまノアの元へ向かった。
「ノアどうしたの?」
魔女があたふたしていると、ミサがノアの顔を覗き込んで
「あーお腹すいたのね。魔女様さっき作ったミルク持ってきて。」
「えぇ分かった。」
魔女は台所へミルクを取りに行き、そのミルクをミサに渡した。
「さぁ飲みな。」
ノアは哺乳瓶をに吸い付き、すごい勢いで飲みだした。
「すごい飲みっぷり。それにしてもよく顔見ただけでミルクってわかったわね。」
「そりゃ何年もお母さんやってるもの。魔女様もいずれかわかるようになるわよ。」
ノアはあっという間にミルクを飲み切った。
「おやもう飲んだのかい。こりゃ元気に育ちそうだ。」
ミサはノアの背中を優しくさすりゲップを出させ、再びベビーベッドに寝かせた。
「さて、夕食づくりを再開しようかね。魔女様はノアが落っこちないように見てて。ご飯作ってくるから。」
「ありがとう。お願いね。」
ミサは台所へ向かい、夕食づくりを再開した。魔女がベビーベッドの近くに椅子を持ってきて腰を掛けると、隣の部屋でお昼寝をしていたコムギが部屋に入ってきた。
「起こしちゃったかい。おいで、新しい家族だよ。」
コムギは魔女の膝に乗り、ベビーベッドで寝ているノアの顔を覗いた。
「ノアっていうんだ。これからいろいろとバタバタすると思うが、コムギも気にかけてやってくれ。」
「ク~ン。」
コムギは魔女を心配そうに見つめた。
「心配してくれてるのかい?大丈夫だよ。しばらくはミサもいるから。」
「魔女様~ご飯できたよ。この部屋に運ぶから机を椅子を用意して頂戴。」
「わかった。」
ミサは台所へ料理を取りに帰り、魔女は机と椅子、コムギのご飯を用意した。
「さてと、これ食べたらいろいろと教えていくよ。今日はおむつの変え方とミルクの作り方と飲ませ方、後ゲップの出し方まで覚えてもらおうかね。」
「お願いします。でも、私にできるかしら?」
「大丈夫よ。どんなに不器用でもやっていけばできるようになるわ。私だって最初の子の時は右も左もわからない状態でやったんだから。頑張りましょう。」
「えぇ。」
食事を終え、片づけまで済ました後、ミサによる子育て講座が始まった。おむつの変え方や育てやすい環境づくりなど長年培われてきた子育てのノウハウを叩き込んだ。
その後はひたすら実践を繰り返した。初めての経験と慣れない作業に悪戦苦闘しながらも、約3か月程度でおむつやミルクはミサの手助け無しでできるようにまでなった。だが、ここから魔女にとって最難関の課題が待っていた。
「さて、おむつとミルクはもう問題ないだろうから今日から教えようかね。離乳食の作り方を。」
「遂にね。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます