男友達から聞いた話
実体験の怖い話ってめったにないんだけどさ、俺、一回だけ不審者に会ったことがあるんだよ。小学校の高学年の時、下校中に友達の
その日はさ、朝、目が覚めた時からずっと耳鳴りがひどくてさ。ほら、よくあるキーンって鳴る金属音みたいなやつ。普段は耳鳴りなんて起きないのに、目が覚めてからずっと「なんか
その後、結局、普通に五~六時間目の授業を受けて普通に帰るんだけど、帰る途中で雨森と二人で不審者に襲われかけちゃうんだよね。あ、そうそう、話してるうちに色々と思い出してきたわ。たしか、下校時間になった時だよ。帰る準備が終わって、雨森と校庭に出た時だよ。校門の方に、見たことのない三毛猫が一匹だけ座ってて。首輪をつけてなかったから、たぶん野良猫なんじゃないかと思うんだけど(首輪がついてないタイプの飼い猫だったらごめん)、俺らの方をすっごい見るの。ガン見ってああいうのを言うんだろうな、って思うほどのガン見をしてくるわけ。だから、直感的に「昼休みに聞いた『あの声』はアイツのだな」って思ったのよ。
「なぁなぁ、校門のところに猫がいるの分かる?」
「はぁ?また?変なこと言わんといてくれん?猫なんて見えねーよ」
「あぁ、ごめんごめん。もしかしたら耳鳴りのせいで頭おかしくなったかも」
そんな会話を雨森としたんだけど、あれ結局なんだったかなー?っていまだに思うんだよね。あれから結構な年月が経ってて、今の俺、たぶんあの時の不審者と同い年(同い年というか同世代)ぐらいになってるからさ。たぶん二十年ぐらい経ってるのよ。でも、いまだに謎。そうそう、耳鳴りはあの日だけだったし、猫もあの日だけだったんだよね、見かけたのが。あれ、本当になんだったんだろうなーって思うんだよね。
あ、待って待って、不審者がどうなったか話してないよね?普通に逮捕されて、たしか……医療刑務所だっけ?普通の刑務所じゃなくて、訳アリの犯人が行く刑務所。あそこに収容されたんじゃなかったかな?なんか、俺らのことを人間じゃなくて別の動物に見えてたっぽくて、その動物に対して殺さなきゃってなってたんじゃなかったかな?俺らは俺らでめちゃくちゃ怖い思いしたから、犯人には償ってほしいんだけど、俺らを人間には見えなかったって普通じゃないからさ。そういう「特別なとこ」に入れられるのはしゃーないんじゃない?まぁ、あの時は死人が出なかったから、そう思えるのかもしれないんだけど。こんなとこかな、実体験の怖い話って。
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