第10話 地獄の訓練開始!

 吐き気がする、何故なら今まさに地獄の訓練が始まろうとしている、ちなみに今いる場所は地下にある特殊な合金で作られた訓練室だ。


「九郎!聞いてる?」


「あ…あぁ聞いてるよ姉さん」


 何言ってたか覚えてないし聞こえてもない。


「だから模擬戦するからそのルールを喋ってるのよ」


 うゎーまた百人組手みたいな事すんのか、あれ体力も精神的にもズタボロにされるから嫌なんだよな。


「でルールは、素手のみで基本スキルなら何でも使っていいよ、降参するまで終わらない降参したとしてもまた次とやっていくから、意地張って降参しないって言ったら分かってるわよね」


 また精神的圧力が上がった気がする、ほぼ脅しだし。


「あぁ分かったよ」


 あぁ学校が再開するまでずっとこんな憂鬱な時を過ごさないと思ったらだんだん泣けてきた。


「はぁーアンタやる気見せなさいよ!やる気を!」


「この状況でやる気の出る奴は!ドM以外いねーだろ!」


 しまった!つい口から!


「へ〜じゃあもういいよね、ぶっ飛ばして?」


 そう言って俺の方に走って来た。


「いっいやちょっ!」


 姉さんと前模擬戦した時よりも圧倒的に視界が遅くなっていた、そして身体強化を急いでしたがそれでも体は追いつかず、拳が目の前のギリギリのところで何とか躱した。


「前よりは反応速度上がったんじゃない、ただ体が追いついてないみたいだけど」


 やっぱり士官学校に行く前までは、姉さんは仕事の休みの時に、毎日のように俺をコテンパンにしてきたから少しの異変にも気づかれている。


 今度はこっちからだ!


『銃弾』


 俺の周囲に銃弾を展開する。


「ふぅーん、まぁ習いたてでそれだけ出せることは褒めてあげる、でも命中率が低そうね」


 絶対先生に聞いたろ!そう俺の銃弾は止まっているターゲットへの命中率は7割、動いていた場合は5割、しかも姉さんよりも遅いので恐らく2割か1割ぐらいしかないだろう。

 先生にも実践で使うのはまだまだだって言っていた。


「私も一応ハンデとして、アンタが使えない基本スキルは使わないであげるわよ」


 なんか腹立つ!俺にしては珍しく自分の方から突撃した。


「珍しいわね、アンタの方から私に向かって来るなんて」


 俺が近づいて来ているのに身構える様子もない、それが俺の


「これでもある程度成長してんだよ!」


 そう言い振りかぶった。


『衝撃』


 そして拳が触れたと同時にスキルを使った、だが一向に姉さんが吹き飛ばされる気配がない。


「私が防ぐ方法を知らないとでも?」


 そして俺の腕を掴まれた、やばいやばいやばいと俺の心臓は警鐘を鳴らすかのように心拍数が上がる。


「まぁ100点満点中、15点ぐらいかな」


 俺の顔は苦笑いになり姉さんは笑いだす。


「衝撃はこうやって使うんだよ?」


 そう言った瞬間俺の体は後方に吹き飛び、壁にぶつかったと同時に意識が途切れた。



「まだまだだね、まぁ今日はこのくらいにしてあげる、今度は5体満足の状態で帰ってきてね」


 そして三琴は九郎を抱えて訓練室を去る。






 

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