第9話 魂の覚醒 地獄へのカウトダウンを添えて
『我らの力を使ってもまだまだであるな』
『そうでございますね姉上』
『此奴にはこの世で最も強くなってもらわなくてはならない』
『それが我らの力を受け継ぐ者としての責務』
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「はっ!」
俺はビクッとなり飛び起きた。
また声が聞こえたような気がする、何の声だったかはまだ分からない。
それより!どうなったんだ!、それ以上にあの後どうなったかの方が気になった、確か…キモい野郎を殺したところまでは覚えてる、それ以降の事は全く覚えてない。
「やっと起きたのね」
「なっ!何でここに姉さんが!」
今目の前にいる人は、俺の実の姉である
「アンタよくも私を無視して寝れたね」
まさか!あれは幻聴じゃなかったのか!姉さんからの無言の圧力が感じられる。
「まぁいいわ、今日のところはハグで許してやろう」
いい歳のくせしてハグって、だから1人も彼氏できないんだよ。
「今失礼なこと考えなかった?」
ニコッと笑っているがさっきより圧が強くなっている。
「そ、そんな事無いよ!、ほら!ハグしよハグ!」
「まぁそういう事にしといてあげるわ」
そう言って数秒間抱き合った。
「そういや九郎、アンタ覚醒したんだってね」
覚醒?あの妙に力が溢れてきた時のことか?、いまいちピンとはこなかった。
「あーまだ習ってなかったか、えーと何処から話せばいいかな、まずは魂憑きの事からかな」
魂憑き?確かテロ集団の奴が言っていたような?言ってなかったような?
「魂憑きっていうのは分かりやすく言うと他の魂が自分の魂にくっつく、即ち憑くっていうこと、そして憑いているその魂が自分を認めてくれた時に魂の解放に近しい事が起きるのよ、その事を魂の覚醒って言うの」
「えっとつまりは俺に憑いてた魂が俺の事を認めたから、あのスキルが使えたって事?」
でも分からない、いつその魂が憑いたのかが。
「そう、それで九郎は1回目の魂の解放の時から憑いていたんだってお父さんが言ってた」
親父そんな事隠してたのかよ!せめて入学した時に言ってくれよ!
「それで九郎はその時まだ赤ちゃんだったから、その魂のスキルは認められないと使えないけど膨大な魂力そのものにはまだ耐えられる体じゃないから一度封印したんだって、それで恐らくその魂に認められたと同時に封印が解けたから魂力も新しいスキルも使えるようになったていう事」
そうか、だからあの時に力が漲ったのか、すると姉さんのポケットに入っている携帯が鳴り出す。
「あっちょっとごめん、もしもし……はい…はいはい…はい分かりました」
そして姉さんは電話を切る。
「もっと一緒にいてあげたかったけど、ちょっと仕事がこの後あるからごめん」
珍しいなこんなに心配してるの、死にかけたからなのかいつもより優しい。
「仕事なら早く行ったら?俺別に1人でも大丈夫だし」
「そう、だったら帰ったら早速また訓練してあげるわね」
さっきまで思っていた事撤回!病人を帰ってきたら扱くって優しさの欠片もない!、あれっ?それより今いるこの場所ってまさか!
「姉さん、ここって学校じゃないよね」
お願い!実家じゃありませんように!
「当たり前じゃない、学校なんで結構いろんな場所が壊れて修復工事中は一旦学校は休みだってことだからここは勿論実家だけど」
終わった〜〜、また地獄の訓練まみれの生活だー!はっきり言って学校よりもハードだ、何故ならずっと朝から晩まで!ずっと模擬戦!
休憩したいって言ったら戦場に休憩する場所なんかない!と言われ必要最低限の食事やトイレ、お風呂などの時間以外はずっと地獄!俺はどうしてこんな家に生まれる運命だったんだろうって何回も考えた、それほどの地獄の日々。
「じゃあ私、行って来るから帰ったら訓練だからね!逃げたら分かってるわよね?」
「はい」
無言の圧力と共に俺は地獄へと舞い戻って来たんだと改めて自覚した。
誰かーーーー!俺を助けてくれーーー!!!
それからずっと心ここに在らずの状態で夕方のゴートゥーヘルへのカウントダウンかのように部屋の時計はカチッカチッと無情にも部屋中に鳴り響く。
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