第8話 死闘のち覚醒

「出てきましたよ先生!」


 あれから3分ぐらい経ち、やっと放送室から人が運ばれていく。


「あぁそうだな、後ろを尾行するぞ」


「はい!」


そして後をつけていく


「あの先って何ですか?」


 テロ組織の奴らが真っ直ぐ向こうに向かっているのが俺でも分かった。


「確かあそこは駐車場だ、恐らくトラックで運ぼうとしているのかダミーかのどっちかだ」


 ダミーだった場合はヤバいな。


「ダミーの確率は1割にも満たないだろう、何故なら駐車場に近づくにつれてテロ組織の奴らが多くなっている」


「先生駐車場の中に入って行きましたよ、どうしますか」


「中には大体20人ぐらいいる、そしてその内3、4人は士官級だ、放送室で喋ってた奴がいただろ」


「確かにいましたね」


「そいつは佐官級だ、私と同格かそれ以下の力を持っているはずだ」


 何でわかるんだ?と疑問にも思ったがそんな場合ではないので黙っておく。


「今から作戦を伝える、まず私が1人で突入するそして緑の光が見えたらお前も突入しろ、光が見えるまで絶対に動くな、分かったな」


「はい!」


 改めて気を引き締め相手を殺す覚悟を持つ。


「では作戦開始!」


 そう言い先生は中に突入した、すると銃声や金属音などが聞こえてくる


「まだか」


 早く助けたいと言う気持ちで合図が待ち切れない、だが何とか自分を静止させる、すると緑の光が駐車場から光った。


「よし!行くぞ!」


 そう言い自分も突入する、そして駐車場の中に入ると10数人かの死体とまだ戦っている先生がこっちを向いた。


「そこの中に全員いる!」


 そう先生はトラックを指でさした。


「分かりました!」


 詩織、櫻さん今助けるから。

そう思いトラックの後ろの扉を開けると倒れている人が20人ぐらいおりその中に詩織と櫻さんもいたが不運な事に中に見張り役もいた。


「やっぱり見張ってみるもんだな、危うく全員助けられるところだったぜ」


 最悪だ最悪だ最悪だ最悪だ、そう思い負けると分かっていながらも戦闘態勢をとる。


「ノア!コイツ殺ってもいいか!」


 今先生と戦っている奴が校内放送で喋っていたやつか、それと同時に先生と戦っている奴とタメ口で喋っているのを聞いて、先生と同格の敵だと理解した。


「別にいいよ、もうこれ以上のサンプルも仲間もいらないからねー、そっち終わったら助けてねー」


「分かった、すぐに終わらす」


 目の前にいる奴がこっちを向いた。


「殺っちゃいけないって言われたから退屈だったんだよ、なぁ楽しませてくれよ」


 目が完全に一線を越えた人の目だった。


「じゃあ始めようぜ」


 するとそいつは動いてもないのに一瞬で俺の体に擦り傷だらけになった。


「イテー!!!」


 あちこちから血が出て動く度に痛みが走る。


「おいっ!お前雑魚すぎだろ!あー白けた、さっさと死ね!」


 そう言い俺の胸を刃物が貫く。


「あ゛…がっ!はあ゛…!」


「九郎!」


 先生がこっちを見ている気がする、もう分からない、段々目の前が真っ暗になる。


___________________________________________


『お前は我が力を』

『お主は我の力を』


『『』』

___________________________________________



 すると九郎の体は白い光と黒い光に包まれる。


「チッ!九郎の封印が解けたか」


「おいおいおい!ノア!コイツ!」


だねー、しかもだねー」



 目が覚めた、さっきまで何か聞こえたような気がする。


「予定変更だ!殺るのはやめてやるよ!だが俺らの国の奴隷として仲間に加わってもらうぞ!」


 何言ってこんな体でえっ?ンッ!?胸の貫かれた時の傷がない!


「おいおい!どこ見てるんだよ!こっちに集中しろよ!」


 クソッ!どうなってんだ!何が何だか分かんないし!

 だがさっきより動けているのは分かった、そう思いながら必死にコイツの攻撃を避ける。


「九郎!使えるスキルが増えてるはずだそれを使え!」


「使えって言われたって!あれ?……分かる分かるぞ!」


 何故だか分からないがスキルの名前も分かる。


「俺の胸を貫いた報い受けてもらうからな!」


そう言いスキルを発動させる。


白極双刀びゃっきょくそうとう


 すると俺の前に真っ黒い短刀と真っ白い短刀が現れた。


「待ってたんだよ!お前みたいな強そうな奴をボコボコに叩き潰すのがよ!」


 2つの短刀を握った瞬間、体内が謎のエネルギーに満たされる、それはまるであらゆる事が1人で完結できるとさえ感じるほどの力だった。


「俺はもうお前に負けない」


「何スカしてんだよ!存分に殺り合おうぜ!」


 そう言いコイツは切りかかって来るが止まっているようにしか見えない。


「死ね」


 そしてコイツの腕が飛ぶ。


「グッ!あ゛がっ!はぁ…はぁ、楽しくなって…はぁはぁ…きた…じゃねーか!」


 既に息が絶えそうだ、首を狙ったつもりだったが腕が切れたな、修正しないと。


「これで今度こそ終わりだ」


「こっちのセリフだっ!」


 声が途切れた何故なら、体ごと縦に真っ二つにしたからだ。


「はぁはぁはぁ」


 持っていた刀が消えたそれと同時に体が鉛のように重くなった。


「そろそろお暇しましょうか、いいものも見せてもらいましたし」


「おい待て!」


 ノアは先生の目の前から姿を消した。


「大丈夫か九郎?」


「はい、ちょっと眠たくなって来ました」


 すると駐車場のドアを壊して誰かが入って来た。


「愛しの弟よ!助けに来たぞ!」


 どうやら姉さんの声が聞こえるぐらい疲れてるらしい。


「先生ちょっと寝ます」


「分かった」


 そして目を瞑った。


「ちょっとちょっと何があったんですか先輩!おーい寝るな九郎!九郎!九っ!」


 やはり幻聴だったらしい、そしてそれ以上俺の耳には何も聞こえなかった。





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