第5話 放課後

「では今日のところは解散だ」


「終わったー!」


 あれからずっと魂力を感じ続ける訓練をしていた。流石に集中力が切れて光らない時もあった。

 そしてみんなで帰ろうとすると。



「九郎なぜお前は帰ろうとしている」


 クソ!バレてしまった!というかいつの間にか俺のこと呼び捨てにしてるし!


「2人は帰っていいぞ」


「「はい」」


はぁ、溜め息しかでない。


 すると詩織がこっちにニヤニヤしながら近づいてくる


「おっつー!」


 そう言って肩をポンポンと叩いた、こっのクソガキがー!と思いつつも堪える。


「お疲れ様です九郎さん、頑張ってください」


 唯一の俺のオアシス、櫻さんは本当に礼儀正しくて美人でどっかの誰かとは大違いだ。


「なんか言った」


 ギクッ!ビックリした!、詩織はこういう時だけは敏感に察知しやがる、勘よすぎだろ!


「何も言ってないけど、じゃあ詩織、櫻さんまた明日」


「バイバーイ」


あーコイツは毎回なんでこんなにも俺をイラつかせるんだ!


「九郎さんまた明日」


 と言われニヤニヤしながら手を振る、やっぱり俺のオアシスだ櫻さんは。


「もう終わったか」


「ビックリした!」


 毎度毎度この先生は、空気を読むとういう行為を知らないのか!


「では訓練をするぞ」


切り替えも早いし


「おそらく武術とか習っていただろ何か得意な武器とかあるか」


「一応徒手格闘、銃、短剣が使えます」


 あの時は地獄だった、学校から帰ったら姉に扱かれ、休日になったら親父と母さんに扱かれ、全員いない日だと思ったら詩織のお父さんに扱かれ、家族全員があらゆる手を尽くして俺を扱きに来た。


「じゃあ最初はこれから覚えてもらおうか」


 そう言って先生は、木の的に向かって銃みたいな形にした手で指している、すると指の先から緑の光の球みたいなのが一瞬で的を貫いた。


「今のは何ですか」


「今のは基本スキルの一つの銃弾バレットだ」


 基本スキル?聞いた事無いな、そんな説明されてないけど?


「本来はもう少し経ってから教えるものだが、基本スキルって言うのは端的に言えば、魂力を持っている人なら誰でも使う事ができる、スキルというよりは技みたいなものだ」


「なるほど、つまり練習すれば誰でも使えるって事ですね」


「そうだ、ただ中にはスキル以上の能力を持つものもある、そういうのは大体覚えるのに時間がかかるがな、お前は他の人よりも成長スピードが早いスキルを複数持っている、今風に言うなら成長チートってやつだ」


 はぁ成長チートって、俺そんなに強くなりたく無いのにな。


「銃弾のコツは簡単だ、さっきみたいに魂力を感じてその魂力を指先まで持ってくるそれを勢いよく発射するって感じだ」


 感じるだけでもかなり集中しなきゃいけないのに、これが簡単だって⁉︎

 軍人のイカれ具合にビックリした。


「ちなみに簡単にできるようになるとこんなふうに」


 そういうと先生の横が突然光ってその光がまた的を貫いた。


「手を使わなくても使えるようになる」


 心の中で少しいやかなりすごいと思った。


「まずは魂力を感じろ」


「はい」


 そして目を瞑りさっきみたいに俺の体が黒く光だした


「そこから少しだけ魂力を指に移動させろ」


 言われたまま体の中心にある魂力を少しだけ指に移動させる。

 やばい!体がプルプル震えてきた!


「頑張れもう少しだ!そのまま勢いよく発射しろ!」


「イケーー!」


 そう言いながら指から放たれたものは、的に当たるも貫くまでにはいたらなかった。


「まぁ最初にしては上出来な方だ」


 なんかガッカリだ、こんな感じにしかならなかったのが。


「もう一回いくぞ」


「はい」


 そのまま放課後の訓練が終わるまで撃ち続けたが、貫くまでにはいかずちょっと的がへこむぐらいにしかならなかった。





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