第4話 薬の材料を探しに
竜の怪我を早く治す。
そのためには、どんな傷や病気にも効く「聖なる薬」を調合しなければいけない。
竜ほどの生き物になると、普通の薬では効き目が弱くなってしまうためだ。
しかし「聖なる薬」の材料は希少で、簡単には手に入らない。
「里の物知りさんにどこなら手に入るのか、聞いてみましょう」
「トールのところだね。うん、早速行ってみよう」
だから、ミクリ達はその「聖なる薬」について詳しそうな人物を訪ねた。
その人物はトール。
里で一番博識で聡明な少年だった。
「その聖なる薬の材料なら、奇跡的にも近くの山でとれますよ」
トールから教えてもらった情報をいかすために、ミクリ達はさっそくその場所へ行くための準備を行った。
薬の材料は、三日歩いた先にある険しい山にその材料となる薬草が生えているらしかった。
ミクリ達は、入念に準備をしてそこへ向かった。
その後を、まだ瘴気の影響がすくない動物達が、こっそりとついていくのも知らずに。
山の様子は聞いていた通り、険しかった。
「この山に薬の材料があるのね。気合をいれて探しましょう」
「うん、早く見つけて帰ろう」
里の巫女として獣達と触れ合うミクリ達には、ある程度の体力があった。
しかしそれでも、すぐに疲労を覚えてしまった。
山は険しく、足場が不安定な所だらけで、ミクリ達は苦心しながら先へ進んで行った。
「あっ、ミクリ、危ない」
「えっ、きゃっ!」
途中で足を滑らせるような事があったが、こっそりついていった獣たちの手助けでどうにかなった。
「わんわん!」
「ぴーぴー」
「きゅおーん」
「貴方達、ついてきてたのね。助けてくれてありがとう」
「でも、勝手についてきちゃダメじゃないか。今頃里の皆が心配してるよ」
その後、勝手についてきてしまった獣達をお説教するアリオ。
しかし、動物達の嗅覚のおかげで、薬の材料が生えている場所が分かった。
「わんわん!」
「あっ、こんなところに」
「やっと見つけた。よしよし偉いぞ」
「わおーん」
苦労しながらも薬草を見つける事ができた薬の材料。
キラキラと光るその珍しい植物を、ミクリ達はさっそく積んで持ち帰った。
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