第3話 獣の狂暴化の原因
ならば、とミクリ達は里の周辺を見回ってみる事にした。
すると、嫌な空気をまとう獣がいる事に気が付いた。
それは黒い竜だった。
「こんな所に竜がいるなんて珍しいわ」
「不思議だね。辺境の険しい山岳地帯とか谷とかに住んでるはずなのに」
その竜は怪我をしていた。
漆黒の体の黒い竜は、怪我の為ずっと飛び立てず、移動できないでいるようだった。
それで、獣の里の近くで羽を休めていたらしい。
竜は二人の姿を見て、威嚇する。
「グルルルル」
「危ない事はしないから、近づいてもいい? 貴方の手当てをしたいの」
「俺、もっと里から薬をもってくるよ」
粘り強く優しく話しかけたら、黒い竜はミクリ達が敵でないと分かったらしい。
ミクリ達は、その黒い竜を手当てをしていく。
薬をぬって、包帯を巻いた後、怪我のわけをどうにかして聞こうと考えた。
竜を見つめて、人ならざるものの声が聞こえるように集中してみる。
すると、だんだんとその竜の声が聞こえるようになってきた。
「竜の声が聞こえるわ。良かった、これでお話しができるわね」
「本当に? やったねミクリ!」
ミクリは今までは、獣の声が聞こえなかったが、今は獣の声が聞こえるようになっていた。
黒い竜がいうには、怪我の原因は「魔王が出す瘴気をあびたから」という事だった。
魔王はこの世界の端っこにいる、強大な力を持った生物だ。
魔物をあやつって、人々を襲わせているが、百年前に勇者からうけた傷が原因で城に引きこもっている。
黒い竜は魔王城の近くを飛んだ事があって、その時に瘴気をあびてしまったという。
元は白かった竜だが、今はその瘴気の影響で体が黒くなってしまっているとも言った。
ミクリ達はこの瘴気をどうにかしたいと考えた。
「かわいそう。この竜は何も悪い事していないのに」
「どうにかして、はやく怪我をなおしてあげたいね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます