第3話
もったいない…?何の未練もない私には響かない言葉だ。
「ちなみにですが、あなたはあと1ヶ月生きていれば、この女性と出会っていました」
床を指差す少年。見ればとても美しい女性だ。美しい髪、ぱっちりとした瞳、透き通るような白い肌の女性が優しく微笑んでいる写真。
今まで何もなく、人生に面白さも幸せも感じることなんてなかったのに何だ、いきなり死んだとたんに…だが、今まで何もなかったのだからどうせ幸せになったって続くはずがない。私はそうやって、期待することに疲れたのだ。
「あなたは今までの人生に悲観している分、信じたり期待したりするのが怖いのでしょう。ただ、もう一度信じてみては?いま諦めると、また1から人生のやり直しですよ。どんな人生になるか分からないじゃないですか。今なら、何が起こるか分かってる。そこからどうするかはあなた次第です。よく言うでしょ?夜明け前が一番暗い、もうすぐ明るい朝が来る前にあなたは亡くなってしまった。でも、やり直しができるんです。こんなに好転する人はなかなか居ませんよ」
少年の言葉が妙に心に響く。だんだんと、もう少し生きていたほうが良かったのではないかと思ってきた。少年の口車にのっていなければ…
1からやり直し人生、もう一度戻って明るい未来を歩む人生…私の気持ちは少しずつ揺らぎ始めていた。
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