提言

【提言1】いい加減Cコードに「ラノベ分類」を!

 さて、図書売上を管理する時に出版業界には「日本図書コード」(以下Cコードと表記)というものを使います。Cコードは書籍JANコードに使用されるのでレジの決済時にどんなジャンルの本が売れたのかが一発で分かるようになってます。とりあえず一般の皆様はCコードというのは書籍JANコード用の番号分類だと思ってください。


Cコード1桁目の数字ってこういう意味になってます。


第1桁(販売対象)

0→一般

1→教養

2→実用

3→専門

4→空番(教科書用?)

5→婦人

6→学参Ⅰ(小学生用・中学生用)

7→学参Ⅱ(高校生用)

8→児童

9→雑誌扱い


2桁目はこういう意味です。


第2桁(形態)

0→単行本

1→文庫

2→新書/ノベルス

3→全集/双書(叢書)/選書

4→ムック・その他

5→事典・辞典

6→図鑑

7→絵本

8→磁性媒体(要はカセットテープ/CD/FD/DVD/BDなど)

9→コミック


3桁目・4桁目はこういう意味です。日本十進分類法と同じく9には「文学」を当てています。なお3桁目の0~8分類は省略します。


91→日本文学総記

92→日本文学詩歌

93→日本文学小説・物語

94→空欄

95→日本文学評論・随筆・エッセイ

96→空欄

97→外国文学小説

98→外国文学その他


 ということでラノベだろうが大衆文学だろうが純文学だろうが小説は3桁目・4桁目の数字は絶対に「93」という番号になります。「小説」だからです。


 見てください。この昭和感。「婦人書」ですよ? 「全集」ですよ? 双書に至っては完全に死語ですよ。学習参考書に至ってはわざわざ小中学生用と高校生用に分かれているのです。これって要はまだ高校進学率が90%超に達していない時代の名残なのです。オワコンですよ、これ。

 出版界は「男性用」を作らず大人の女性用だけ別区分にしていたのです。別に男が婦人書読んでもいいんじゃね? 実は「料理」・「手芸」・「保育」関連書がここに含まれてるのです。実用書じゃないんですよ。いや、実用書扱いにしてるのもあるけど。いい加減に「昭和」は卒業しませんか。男が保育して何が悪い!? というかCコードの1桁目の「5」って機能しているんでしょうか。私が思うにたぶんしていないでしょうね。令和となった今では。また学習参考書はもういい加減に小・中・高に統一出来ませんかね? すると「7」の高校生用学参枠が空きますよね。

 そう、なぜ1桁目の「7」を「青年向け」と変更できないのでしょうね。だから我が国はアニメ大国・漫画大国なのにライトノベルの市場把握が困難なのです。実はこんなの「Cコードにラノベの区分を入れてください」とするだけで解決なんですよ。もっとも平成の中期までラノベはほぼ文庫本サイズで刊行するのでCコードなんて要らないよ扱いだったのかもしれません。たまにラノベは新書・ノベルスサイズで出すくらいで基本は文庫本なのです。でも「なろう系」の誕生でそれが覆ってしまった。なろう系ラノベというのは基本「単行本」での出版なので。2023年に至ってはラノベ市場・文庫が99億円、ラノベ単行本市場が101億円とついに市場額がラノベ市場初で逆転してしまったのです。なお昔はあったラノベ・ノベルス市場はほぼ壊滅しました(算出不能)。令和の時代でラノベ・ノベルス市場の主要作品は『キマイラ』シリーズぐらいです。

 ということで……


 「第1桁目のCコード7は『青年向け』とする」


 つまり「7093」が「ライトノベル・単行本」って意味です。「7193」が「ライトノベル・文庫本」って意味になります。

 7区分の変更は何もライトノベルやライト文芸の把握に留まりません。「7979」とすることで青年コミック誌の売上把握も容易になります。なお、ここで言う「青年」とはおおむね15歳~25歳向け(1浪修士新卒の年齢が25歳になる。現役大卒の場合なら社会人3年目)と思ってください。「7072」で青年向けの法律解説書にもなりますし就活本は「7036」とすることが出来ます。令和の今、4年制大学進学率は56%(2024年実績)にも達します。1992年頃の4年制大学進学率25%の時代ではないのです。いい加減に児童期と成人期の間には約10年ほどの「青年期」という人生のステージがあるんだという令和の現実に合わせるべきです。さすがに26歳以降ともなると結婚してマイホームを建てる人も多くなるから「青年」とすることに抵抗があるので26歳以上は「大人」だと思いますが。なお、念のために言いますがここで言う「大人」とは学校に行く年齢を終えた人という意味で書いています。

 こうしないともうラノベの正確な売上情報把握は不可能でしょうね。ぜひ「7 青年」ジャンルの新設を私は求めます。また「5 婦人」を「5 家庭」に変更することを求めます。だってそうでしょ? 「専業主って何だよ?」って話になるんだよね。つまり出版界はジェンダーフリーとか言いながら商業把握では滅茶苦茶女性差別・男性差別しているわけ。


 巻末の年表見ればわかる通りライトノベル誕生からもう50年も経ってるんですよ? もう一回言いますがもういい加減にCコードに「ライトノベル」及び「ライト文芸」ジャンルの番号付与をするべきだと私はここで提言します。こうすることで各社のライトノベル推定売上金額のブレが解消されるからです。


 なんで私がこんな提言をするかと言ったら「ラノベの売上把握は困難だ」とか「~は売れてるからラノベは衰退していない!」と言った「ごまかし論」を無くすためです。それといい加減に出版界に向けて「青年向け図書の正確な売り上げ動向の把握に努めるべき」という「ビジネスの基本」を世に訴えているからです。

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