終わりに ラノベを見捨てたのはたぶん10代女子と中学生男子

 ということでこういうタイトルのような結果になった。


 だってさ「乙女ゲームの~」とか言いながら全然中身が乙女ゲームじゃない、むしろ「乙女ゲームを馬鹿にするな!」という声さえあるんだって。そうだよな。乙女ゲームなのになんで学園内に傭兵や従者が学生寮に居るんだよとか今の高校生女子は突っ込みたくなるよな。


今から驚愕の事を書きます。

・乙女ゲームに悪役令嬢は出てこない(ラノベ文化を逆輸入したゲーム版「はめふら」は除く)

・乙女ゲームに修道院ダンジョンは存在しない

・乙女ゲームに夜会はほぼ存在しない

・乙女ゲームに婚約破棄の場面は存在しない

・乙女ゲームに聖女は登場しない

・むしろ乙女ゲームの主戦場は和風ファンタジーや現代学園もの

・乙女ゲームは校外学習でモンスターと戦ったりなんてしない

・そもそも乙女ゲームでお茶会が出るのは超少数派

・実は乙女ゲームって同性婚が可能な場合が多い(異性愛とは限らない)

・乙女ゲームに令嬢処刑シーンなんて存在しない(たぶん)

・乙女ゲームに闇落ち貴族令息はたぶんいない(居ても超少数派)

・マイネリーベはともかく乙女ゲームにクーデターシーンはない(たぶん)


 これらを考えたらそりゃ中高生女子の読者は今の異世界恋愛ものに怒るよな。そもそも中高生は恋愛ものや純粋なファンタジー作品を読みたいに決まってる。間違っても婚約破棄とざまぁという「復讐もの」ではない。


 私が思うに中高生女子が本当に読みたいラノベは学生生活の葛藤、初恋、リア充シーン、悲恋、本格ファンタジー、歴史系だよ。逆に「乙女ゲームの~」や「溺愛」を求めているラノベ読者層はほぼ間違いなく30代・40代女性だよ。


 だから週刊文春はたぶんだけど半分当たりで半分外れなんだ。「10代女子と中学生男子のラノベ市場が崩壊した」が真の正解なんだよ。なお20代前半の女子(つまり女子大学生と女子大学院生)もおそらくラノベを見捨てており溺愛・悪役令嬢などを読み始めるのはおそらく20代後半特に25歳以降からであると思われる。


 中学生男子は確かにラノベを見捨てたけど高校生男子からはラノベ市場に本格参入する。3年遅れになったって事だな。それでも中高生男子の約半分である中学生男子がラノベをほぼ見捨てたのは痛いし10代女子・20代女子前半に至ってはほぼ全員がラノベを見捨てたという痛い結果に変わりはないわけでもっと真の顧客に耳を傾けてほしいと願うばかりである。


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※1:念のために言うけど10代女子の全員が、とは言ってないからね。「私はちゃんとラノベ読んでるもん!」と言われてもこれは大まかな動向の話だからね?


※2:「私はラノベ読んでます」という10代女子に限って「それ、ライト文芸だよ?」という例が非常に多いのでその手に持ってる本がラノベかどうかもう一回たしかめてみ?


※3:ちなみにRPGに文言を変えて「悪役令息」とか「ラスボス貴族・男」にするとこうなった。


・RPGに悪役貴族・悪役皇子はばっちり登場する(下手すると『幻想水滸伝2』のルカ・ブライトのように「豚は死ね!」という名言が存在する。たしかに。彼に転生したら破滅フラグだから改心しないと。だから最近悪役令息が多くないか?)

・RPGに修道院ダンジョンは存在する

・RPGに夜会シーンは存在する(特に戦勝祝いの時)

・RPGに婚約破棄の場面は存在する(トライアングルストラテジーなど)

・RPGに聖女は登場する(聖女つまりヒーラー役は杖持って回復だね)

・RPGの主戦場は中世風世界

・RPGは校外学習でモンスターと戦う(FF8など)

・RPGでお茶会が出るのは……実はある(ヒロインを呼ぶときかな?)

・RPGで同性婚が可能な場合は少ない

・RPGで令嬢処刑シーンはあるしなんだったら悪役王子も処刑される

・RPGで闇落ち貴族令息はそれなりに居る

・RPGはクーデターシーンだらけ


と、ネタ元がはっきり分かるんだね。つまり高校生・男以上向きにして「乙女ゲーム」じゃなくてネタ元をRPGに戻して主人公も男にすれば何も矛盾点が無い。やっぱり高校生男子以上になるとラノベ読者は離れてないって分かるんだね。


※4:厳密には中3・男子は2学期頃からラノベを読み始めるがこの時期は高校入試の勉強に本腰を入れるため本格的にラノベを読み始めるのはやはり高校1年からである。しかしながら中3・男子層には高校受験不勉強勢もたしかに一定数居るのでラノベのタイトルが学校読書調査のランキング10位内に登場するのだ。


※5:こうなった結果はもうラノベ市場第一ピーク期にもう見られていたことである。お金をあまり持っていない中高生を相手にするよりも自由に使える小金を持っている20代の独身男性向けにしようとしたのが2002年頃から始まる「萌えブーム」である。要はソフトエロで中年に片足突っ込んでる男性客を釣ったのである。そのピークが2009年だった。しかしもうこの時既に中高生・女子のかなりがもうエロに嫌悪感を示しラノベに背け始めていた。2010年からいよいよラノベ市場は長期低落傾向に入るのだが出版業界は何を血迷ったのか出版界は30代超の中年男女向きにラノベのターゲットを絞ってかつ単行本という単価の高い商品を売り異世界転生ジャンルというより年齢の高い中年層向けにマーケティングを強化したのだ。ラノベ市場第一ピーク期との違いは中年女性層もラノベ市場へ取り込み強化したことである。こうしてラノベ市場第二ピーク期が形成されたがラノベ市場第一ピーク期の市場額を超える事が出来ず……さらに中高生女子どころか中学生男子や女子大学生までもがラノベから離れて行った。それが2018年に起きた「異世界転生バブル崩壊」という現実だったのだろう。ここからは筆者の推測であるがもはや2024年現在のラノベ主要読者層は「40代男女」になってしまったのではなかろうか。

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