学校読書調査の結果から見えて来る事
学校読書調査とは全国SLA(全国学校図書館協議会)が不読率、電子書籍読書率、何が読まれているのかを毎年統計調査する調査の事です。機関誌である『学校図書館』にだいたい例年10月や11月に結果を公表します。これを見ることによって子供たちは実際何の本を読んでいるのかが分かります。ちなみに「若者の読書離れ」とか大嘘で小学生の不読率は約10%程度、中学生は約20%です。不読率がいきなりぐっと上がって来るのは高校1年からです。それでも高校生の不読率は例年約45%程度で90年代に記録した55%前後で推移した時代よりも約10%程度低くなっております。よって「子供たちはゲームしているから本は読まない」なんて話は大嘘ということだけは毎年「学校読書調査」で分かっております。「若者の読書離れ」というのは90年代までの話であって認識が約25~30年遅れの話ですからね。じゃあ、結果を発表しましょう。2023年結果に変えております。2022年とは大きく変化したのは主に中学生の読書結果だからです。皆さんも最寄りの公共図書館で『学校図書館』を見ていかにラノベの公募が無謀な行為かを確認してください。
それでは2023年「学校読書調査」結果で「中学2年・男子」を見てみよう。
▲1位 5分後に意外な結末シリーズ
●2位 小説版名探偵コナン
▲3位 ハリーポッターシリーズ
▲4位 54文字の物語
5位 空想科学読本
▲5位 星新一ショートショートシリーズ
●7位 小説版ワンピース
●7位 小説版ジョジョの奇妙な冒険
▲9位 かがみの孤城
▲9位 3分間ミステリー
★9位 小説版グッバイ宣言シリーズ
●9位 小説版すずめの戸締り
★=ライトノベル 1
▲=児童文学 6
●=アニメノベライズ 4
(※小説版すずめの戸締りはライト文芸カテゴリーに入れる事も可能。この場合は☆=ライト文芸1、●=アニメノベライズ3になる)
「なんだ、今年は1作品あるじゃーん。ラノベって実は復活傾向なんでしょ?」と思った人。はっきり言うけど筆者は『グッバイ宣言』シリーズというのは特異点だと思う。なんだったらつばさ文庫や青い鳥文庫で出てもおかしくないぐらいの年齢対象で小学校高学年~中学生向きのラノベである。よく今の時代でこの手のラノベを出せたなというぐらいで本来は児童文学のレーベルに出ても全くおかしくない内容なんだ。ちなみに『グッバイ宣言』シリーズを高校1年以上が読むと別の意味でキッツいと思う。だからこのシリーズ作品の存在自体が奇跡的だと思う。他を見てみよう。小説版『すずめの戸締り』以外は基本的に児童向けの作品しか読まれていない。
ちなみに中高生女子つまり中1・中2・中3・高1・高2・高3から10位内に登場したラノベは0作品。ライト文芸なら『わたしの幸せな結婚』などがランクインした。いちいち書くのも面倒なので結果だけお伝えする。なお高校生女子に人気な「膵臓」はライト文芸とみなす。中高生女子で読んだ本10位内ではラノベは全滅という悲惨な結果となった。
そしてここからさらに重要な事を言う。この読書傾向見ればわかる通り今の中学男子・中高生女子はラノベに「エロ」なんて求めてない。今の中学男子・中学女子・高校女子は「ピュア」な世界を求めている。しかし書き手の中年はてめえの欲望優先で書くから平気でエロコメとかハーレムとかNTRなどをラノベジャンルで書く。そうするとどうなるか分かるよな?
だから、ラノベは中学生や高校女子から嫌われる。
かっがりした? でもね、さすがに中3・男子になるとラノベを本格的に読み始める。
それでは2023年「学校読書調査」結果で「中学3年・男子」を見てみよう。
▲1位 5分後に意外な結末シリーズ
▲2位 かいけつゾロリシリーズ
▲3位 小説版名探偵コナン
▲4位 かがみの孤城
★5位 ソード・アート・オンライン
★5位 ようこそ実力主義の教室へ
▲5位 星新一ショートショートシリーズ
★8位 探偵はもう死んでいる
★8位 転生したらスライムだった件
★8位 Re:ゼロから始める異世界生活
▲8位 ハリーポッターシリーズ
■8位 マスカレードシリーズ
■8位 変な家シリーズ
★=ライトノベル 5
▲=児童文学 6
●=アニメノベライズ 0
■=大衆文学 2
でもだぞ? かつて小学生に大人気だった『かいけつゾロリ』シリーズがもう中学3年でも大人気なわけ。つまり『かいけつゾロリ』シリーズや『小説版名探偵コナン』よりもラノベ作品群は中3評価では下って意味なんだよ。しかも新しいラノベシリーズはもう読まれていないんだ。『探偵はもう死んでいる』ですら第一巻発刊は2019年。つまり5年前だ。それ以外は10年前だの12年前だのと言った作品が第一巻発刊となっている作品だ。つまりラノベ界は中高生の間で新しい読者を作り出すことに失敗したんだ。それにしても何で中3でしかもいきなり2位に『かいけつゾロリ』シリーズがランクインしたのかな。今後の分析や動向が気になる。
一応2023年「学校読書調査」結果で「中学3年・女子」も出してみる。
●1位 あの花が咲く丘で君とまた出会えたら。
☆2位 今夜、世界からこの恋が消えても
☆3位 私の幸せな結婚
▲4位 かがみの孤城
▲5位 5分後に意外な結末シリーズ
□6位 人間失格
▲6位 本の怪談
☆6位 夜が明けたら、いちばん君に会いに行く
▲9位 不思議駄菓子屋銭天堂
☆10位 交換ウソ日記
★=ライトノベル 0 ←ここ重要
☆=ライト文芸 4
▲=児童文学 3
●=アニメノベライズ 1
■=大衆文学 0
□=純文学 1
(※交換ウソ日記はジュニア版も出ているがライト文芸とみなした)
ね? 誰が中高生女子で「婚約破棄」だの「ざまぁ」だの「聖女」だの読んでるんだ。ラノベ担当者はバカじゃないかと俺は思っている。ちなみに『私の幸せな結婚』は婚約破棄だの聖女だのと言った世界じゃない。和風ファンタジーラノベというド正統派女性向けラノベだ。つまりやっぱり売れ筋は正統派ラノベなんだよ。そしてもう一つの事実に気が付かないか。そうだよ、読者はライト文芸へも逃げ出しているんだ。
※この項目は2022年版の結果から2023年版の結果に反映されたため全面改稿となりました。
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