第27話 魔法


 アキネが防具と武器が欲しいと言うのでレーナとミクスにお願いして買いに連れて行ってもらった。

「じゃあ、魔導書を読んでみな?」

「うん」

「おう」

 二人とも魔導書が読めなくても頭に入ってくる変な感じに四苦八苦しながら読んでいる。


 俺はステータスを見てみる。


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 近藤 春こんどう はる21歳

 レベル46

 力 B

 体 B

 速 C

 知 B

 魔 A


 スキル 創造魔法

 ユニーク 書庫の管理人

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 (仮)が外されていた。これで創造魔法が使えるが、多用はしないようにしないとな。


「覚えた!」

「俺も!」

 一冊目を読み終えたようで二人とも無事に覚えられたようだ。

 二冊目に入ってまた四苦八苦している。


 普通は覚えても練習しないといけないらしいが、渡り人なんだから多少の応用は効くだろ。


「ただいま帰りました」

「へっ?二人とも何読んでるの?」

「おかえり、魔導書だよ」

「えーっ!私だけが魔法が使えたのに!」

 二人は夢中で気付かない。

「まぁまぁ。良いじゃないか」

「良いですけど、あ、これどうですか?」

 くるんと一回りして見せる。

「うん、可愛くて似合ってるよ」

「えへへ」

 赤っぽい茶系の革鎧だ。よく似合っている。

「2冊目終わり!」

「俺も!」

 ケンタロウとトウヤが二冊目を読み終えた。

「もう!二人とも勝手に魔法なんか覚えて!」

「い、いいだろ?べつに」

「そうだぞ?お前だけ魔法が使えたんだから」

「い、いいけどさ」

「あ、良いじゃん。その革鎧」

「おぉ、まあまぁだな」

「ふふん、そうでしょ!」

 またクルンと一回りして見せる。

「エヘヘ」


 三冊目を読み終わった二人は早速試したいようで外に出たがる。結局全員で門の外に出て魔法の訓練だ。

「ファイヤーボール」

 赤い炎の玉が飛び出てくるが遅い。

「アイスランス」

 氷のランスになる前に消失する。

「はぁ、はぁ、ダメだ」

「何がダメなんだ?」

「イメージが足りないんだろ?ファイヤーボール」

 豪速球の火の玉が木にぶち当たり折倒す。

「すげぇ」「同じファイヤーボールなのに」

 魔法はイメージだ、イメージできないままだと発動が難しい。

「ファイヤーボール」

 高速の球が飛んで行く。

「よくなったじゃないか」

「はい!」

「次俺も!」

「アイスランス」

 氷の槍が木に刺さる。

「アイスランス」

 氷の槍が飛んで落ちる。

 あとは練習あるのみだが、魔法の使いすぎで二人ともダウン寸前だ。

「この辺で練習止めるぞ、倒れちゃうからな」

「「はい」」

 二人とも素直でよろしい!

「レーナもその辺でやめとけよ?」

「はい!それではここまでで」

「はぁ、ありがとう、はぁ、ございました」

 レーナには基本の戦い方をアキネに教えさせていた。殆どが組み手だったみたいだが。

「お疲れ様」

 家に帰って休ませる。

「ミクス、一緒に来てくれるか?」

「はい、主」

 俺はミクスを連れてギルドで依頼の張り紙を見る。

 オーガの巣があったのでそれを取り受け付けに出すが、Aランクじゃないとダメらしい。

 ならいいやとその場所だけ確認し、転移する。

『オガァァァァァ』

「おお、いっぱいいるな。ヒートウェーブ」

『ウ、ウガアァアァア』

「おお。耐えるねアイスウェーブ」

 熱された身体が急速に冷えて動けなくなる。

「せい!ほ!や!」

 オーガの首を斬って行く。

 なかなか骨のある作業だな。

 あらかた片付けたと思ったら第二波が来たのでもう一度同じことを繰り返す。

「大したことないな」 

「いえ。主が強いだけですよ」

 まぁそれもあるかな? 

 やっと大将のお出ましか。

 オーガキングか、

「アイスコフィン」

 足元から凍って行くが砕いてしまう。

『オガァァァァァ』

「うっ!」

 オーガキングの棍棒を受けたら使ってる剣が折れて俺は吹き飛ばされる。

“ダンッ”

 ぶつかった岩が崩れるほどの衝撃だ。

「主!」

「大丈夫だ」

 うーむ、やっぱ使おうかな。

「デス」

“ズーン”

 と音を立てて倒れるオーガキング。

「主!鼻血が」

「おぉ、でもこれで済んだのか」

「ヒール」

 転移はやめとくか。

 全部のオーガを鞄に詰めて行く。

 流石にオーガに捕まってる人なんかはいない、食べられるからだ。

 また金銀などの鉱石を集める習性があるのか、一角にまとめてあった。これも頂いておく。

 さてゆっくりと下山して帰ることにする。

「主、大丈夫か?」

「ん?うん、大丈夫だぞ?」

 創造魔法で魔法を作っとくか、そしたら少しは楽になるかもな。

 今のオーガでだいぶレベルも上がっただろう。

 にしても遠いな。

 途中で出てくるキングボアやポイズンスネークなどは予備武器の槍で倒してカバンに入れて行く。

 これもレベル上げのタメだな。


 やっと辿り着いた頃には夜になっていた。

「なにやってるっすか!」

 閉まってる門の上から声が掛かる。

「お、キースじゃねえか、開けてくれよ」

「開けるっすけどどこまで行ったんすか?」

「オーガの巣まで」

「お、オーガって、よく無事で」

「全部倒して来たから大丈夫」

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