第22話 ワイバーン
一ヶ月後、ようやく外に出ることが許された。
「久しぶりの外だぁ!」
玄関先で叫ぶ。
「お、賢者が復活したっすか?」
「おうキース!ようやく外に出ることができたよ」
レーナとのバトルの末、勝ったのは俺だった!ベッドの上でな!!
「で?賢者って呼ぶなよ!」
「みんな賢者って呼んでるっす」
「しらねぇよ!」
「まぁまぁ、賢者も怒るなよ」
ウェイドまで馬鹿にしやがって!
「けっ!んで?何の用だったんだ?」
「いつもの暇つぶし」
「だろうな!」
キースとウェイドだけの時はいつも暇つぶしに日本の食べ物とか出している。
「今日から外に出るから食事は外で済ませよ?」
「なぁー!そうだったっす!飯食いに来たのに!」
「もう一度家に閉じこもれ」
「やだねー!」
こんな会話ができるのも楽しい友人だからだ。
「じゃあキース達と飯食いにいってくるから」
「はい、ご主人様」
中にいるレーナに護衛はいいと言うことを伝え、外に出る。
「奢るから飯行こうぜ!」
「やったっす!飯代浮いた!」
「あそこにしようぜ!金あるだろ?」
「なんで高い店に入ろうとすんだよ!別にいいけどな」
金は腐るほどではないが待ってるからな。
「美味いのであればそれでいいや」
「ごっそさんっす」
「まぁまぁだったな」
「な!金額の割にな」
あまり美味くなかった。まぁ、これも経験だな。
「あ、ギルドに行かないといけないんだった」
「ん?まぁ付き合うっすけど」
「なんかあんのか?」
「ワイバーンを討伐してそのままだからな」
バックに入ったままだ。
「げっ!ワイバーン討伐したのって賢者だったっすか」
「あぁ、また騒ぎになるぞ?」
「なんで?」
ワイバーン討伐くらいで、
「ワイバーンがいなくなったって大騒ぎだったんだぞ?」
「まじで?」
「マジっすよ!こりゃ団長案件っすね」
「うわぁ。三匹もいるよ」
「マジっすか!」
しかも傷一つついてない状態だからな。
こりゃマジで団長に頼むかな?
「団長のとこに行くっすね」
「あぁ、そうしようか」
城の騎士団のいる場所へと移動する。
「団長ぉ!賢者が来ましたっす」
「賢者じゃねぇよ!」
団長が中から出てくる。
「ははは、賢者と言われるのは仕方ないだろ」
「うるせぇ、それよりワイバーン討伐したのは俺なんだけど」
「うぉ!マジか?ワイバーンは?」
「バックの中に傷一つない状態のが三匹」
「………マジかぁ。王に言ったら剥製にするだろうな」
「そうなの?ならいいんじゃね?」
「はぁ、城に入るぞ」
王様に謁見の許可をとってから待つ。
「おお、賢者殿!今回も素晴らしいものがあるそうだが?」
「素晴らしいかわかりませんがワイバーンがありますね」
バックから一匹出してみる。騒然となる場内。
「死んでいるのか?」
「はい、傷もありません」
「おぉ!これを剥製にするぞ!さっさとやるのだ」
えっちらおっちら運ぶ従者を横目に二体目を出す。
「え?」
「はい、三匹あります」
「お、ほほう。三匹もか!さすが賢者殿」
さすがに王様も少し引き気味だ。
「もちろん買い取らせて貰うよ。皆のもの手分けして運ぶのだ」
頭のいい宰相がさっさとマジックバックに入れて持っていく。
かわりに大金を貰った。もう金は十分あるんだけどな。
「あとは何かあるか?」
「あー、エアコンとかドライヤーは作りましたね」
「なぬ!それはなんじゃ?」
説明がてら一台づつだして、
「こんな素晴らしい物があるのか!」
「まぁ!これは髪を乾かす物なのね!」
王様も女王様も食いつきが半端ない。
「よし!これを城内につけてくれるか?」
「作るのに少々お時間をいただきますが」
「よい!これはわしの部屋につけてくれ」
「このドライヤーは私が貰うわよ」
王様の部屋に入ってエアコンをつける。
「はふぅ、この頃暑くなって来ておったからのぉ」
その身体ではしょうがないか。
「では量産してくるので、これで失礼しますね」
「また新しい物ができたら持って来てくれ」
王様はエアコンの前に椅子を置いて風に当たっている。
「はぁ、また作るのが多くなったな」
「まぁ、良いじゃないか、仕事だ」
「賢者の仕事?」
「そう言うことだな」
「かぁー!出すんじゃなかった」
帰りにキースとウェイドについてこられ、鍛冶屋に顔を出す。
「おう!賢者殿、エアコンにドライヤーがいっぱいいるんだろ?」
「なんで知ってる?」
「どうせいるだろうと思って作ってバックに入れてあるぜ!」
「てか、賢者って呼ぶなよ!」
「王様から告知があったぞ?賢者に認定するって」
俺はキース達を睨むと目を逸らしやがる。そんなこと一言も聞いてないぞ。
鍛冶屋の親父からたくさんのエアコンとドライヤーの外側を貰い、代金を払う。
「また作っといてくれよ、いついるかわかんないからさ」
多めにお金を渡しておくと、
「がってん!また取りにこいよ!」
鍛冶屋を後にする。
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