賢者と勇者
第20話 久しぶり
「久しぶりだな」
いや、こんな格好でやばいか!金も持ってないし。
「転移」
戻って来て気がつく。俺は死んだ人間だったな。なのに日本に帰れるなんてな。
もしかしたら死んだ人間じゃない?そんなことはないか、神様に言われたしな。
「あっちで、金作る方法なんて思いつかないし」
あ、創造魔法があるじゃないか。
「創造魔法」
自分の服を日本の服する。
「創造魔法」
免許証をつくる。
「創造魔法」
ハンコを作る。
これで、金貨を売ればいいか。
「転移」
人混みに紛れて金の買取をしているところを探す。
「あの、金貨を売りたいのですが?」
「はい、どうぞこちらへ」
「これなんですが、売れますか?」
「ちょっとお待ちください」
「24Kの31.1gで290.990円ですね」
「あ、じゃあ三枚大丈夫ですか?」
「では、測らせてもらいますね」
「二枚とも24Kで30.9gでしたので289.118円になり、三枚で869.226円になりますがどうなさいますか?」
「う、売ります」
お金持ちになってしまった。お金はマジックバックの財布にしまったし、盗られることはない。
久しぶりに牛丼が食べたいな。
チェーン店に入り汁だく牛丼をかき込むと、安心できたのか、さっきの心臓のバクバクが治ってきた。
チェーン店の持ち帰りをこれでもかと買っていく。
牛丼、ハンバーガー、寿司、カレー、俺にとっては時の止まっているバックに詰め込むだけだ。
雑誌や図鑑なども大人買いしてバックに詰める。思いっきり楽しんだ。せっかくの日本だからやれる事をやろうと決めたんだ。
久しぶりの日本は何も変わらないようだな。
ネカフェに行って自分の死因を検索する。
昔の記事に載っていた。ちょうど二年前の記事になるな。
普通の交通事故のようだ。俺が加害者じゃなくて良かった。加害者の高齢者も死んでしまったようだった。でもなんで渡り人なんてなったんだ?
まだ日本を見て回る。
久しぶりに見るスカイツリーなんかに感動し、また本屋を見つけると結末の気になっていた本も最終巻がでていたので買っておく。
電気や車などの専門書も買い込んでおく。
創造魔法で作れればいいんだが。
家電なんかも欲しいが発電機なんかを買わないといけないので今回はパス。
スーパーに行って米を買う。米以外のものも大人買いだ。
いったい何ヶ月分買うんだろうと思うが今のうちのような気がして買いだめしていく。
現金はまだ数十万残っているので、腕時計を買った。丈夫で有名なやつだ。あっちの世界は時間がわからなくてこまる。
俺は店を出て「転移」で戻る。
他の渡り人も俺みたいな死んだ人間なんだろうな。
着替えて下に行くとレーナが掃除をしていて、ミクスは洗濯をしていた。
「創造魔法」
部屋はピカピカになり、洗濯は終わって干してある。
「「え?!」」
「俺はこんなこともできるのか」
これならモンスターのいない世界にできたり、は無理か。
なんだってこんな力を与えたんだ?
「え?ご主人様?」
「主?!洗濯が勝手に終わったのだが」
「あ、ごめん、俺が勝手にやっちゃった」
レーナもミクスも呆気に取られている。
「いいか!自由に生きろって言われたし!」
「ご主人様?」
「ごめんごめん、なんかいろんなことが起きてちょっと考えすぎてたみたいだ」
「主はよく考え事をするからしょうがない」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫!」
レーナに気を遣われたけど大丈夫。
久しぶりにモンスターでも討伐に行くか!
レーナとミクスに着替えてもらい、冒険者ギルドに行く。
張り紙にはワイバーン討伐が書いてあったのでこれにする。
「ご主人様?大丈夫でしょうか?」
「大丈夫!」
門の外に出て、手を繋いでもらい」
「転移」
ワイバーンの巣に入った。
「デス」
創造魔法で一撃死の魔法を放つ。
ビックリした、ワイバーンは三匹いたが、いずれも死んでいる。
巣を見渡すと連れてこられ餌にされた人骨が沢山あったが、金貨などの金属は食べずにまとめてあった。
三匹ともバックに入れ、金貨なども纏めて入れておく。そしてまた「転移」で戻る。
「ご、ご、ご主人さま?」
「あ、あれ?主」
「討伐は終わったよ?」
だって創造魔法で一発だったからな。
「こんなことって」
「いやいや」
「あはは、ビックリした?」
「び、ビックリしました」
「ビビったよ」
「あ……」
俺は倒れてしまった。
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