第16話 冒険者


 久しぶりに「うおっ」と目が覚めるとメイド服姿のレーナとミクスが起こしに来ていた。

「「おはようございますご主人様」」

「あ、え、おはよ」

 そういえば今日からキースとウェイドはいなかったんだった。

 二人に起こされてダイニングに行くと朝ごはんが用意されている。

 一緒にたべるといってあるから二人も一緒で三人前の食事がある。


「「「いただきます」」」

「うまっ!」

「ありがとうございます」

 こっちはレーナが作ったのか。

「こっちのも美味い」

「ありがとうございます」

 赤くなったミクスがお礼を言う。

 うん。いいね!


 その後は部屋中にエアコンを付けて周り、ドライヤーの使い方を教える。

 そしてこっからだな、

「レーナはなんで借金奴隷に?」

「食費を削るために売られただけです」

「そうか、ミクスは?」

「冒険者仲間の怪我を治すために借金しちまって、あ、してしまって」

「普通に話して良いよ。仲間だと思ってるからね。じゃあ給金の話だけど、月に八万ゼルでどうかな?」

「も、貰いすぎです!」

「そうだぜ!それじゃ十年で完済できちまう」

 うーん、五年から十年で完済できるようにしようと思ったんだけどな。

「どれくらいが普通なの?」

「高くても五千ゼルくらいです」

「それじゃあ完済出来ないじゃないか」

「それだけ借金奴隷は抜け出せないんです。衣食住にお給料を貰えるだけでありがたいんです」

「そうだぜ、旦那は良い人すぎるよ」

 そうかー、完済出来ないのか?

「なら、冒険者で稼いだら三等分する事にする」

「いや、私達は奴隷なんで冒険者登録は出来ないんです」

「でも三等分はできるよ?」

「だから旦那が全部貰うんだよ」

 うーん、いい考えだと思ったけど、

「よし決まり!三等分するって俺が決めたから」

「「えぇー」」

 押し通すことにした。

「私達のことがお嫌ですか?」

「そんな事ないよ、二人ともすごく可愛いし」

「ならなんで?」

「借金完済した後も仲間でいてくれるならここに居てくれていいし、俺の我儘かな?」

「それじゃあ居てもいいんですね?」

「いいよ」

「よかった、こんな言葉遣いだから嫌われなのかと思っちまった」

「そんなことじゃ嫌わないよ」

 二人とも泣そうになっていた。

「んじゃこれでこの話はおしまい!あとは掃除とか洗濯をお願いしてもいいかな?」

「「はい」」

 二人は元気に仕事に戻った。


「ポーションでも作っておくか」

 一部屋は錬金術の道具を置いてある。実験室みたいなものだ。道具が揃ってるから簡単にハイポーションが出来た。錬金術で瓶を作りそれに入れて封をする。

 あー、そういえばマジックバックは渡したけど財布型のは作ってなかったな。

「ちょっと出かけてくる!」

「あ、わたしが一緒に行きます!」

 レーナが直ぐについて来た。

「一人で行けるよ?」

「キースさん達から一人にするなと言われてますので」

 信用ないなぁ。

「まぁ、いいか、一緒にいこうか」

「はい」

 鞄屋に行き、革の箱型のベルトに付けれるタイプのカバンとポーチ型の二つ選んでもらう。

 レーナはどっちかというとスカートが多いのでポーチ型。尻尾があるからかな?ミクスは短パンが多いからベルト型だ。

 まぁ、契約つけとけば盗られた時も安全だしな。

 帰ってマジックバックを作り二人に渡す。

「「ありがとうございます」」

「いいよいいよ」


 昼ご飯を食べたら冒険者ギルドに行ってみる。オークの討伐があったのでそれを受けてみる。

門を出て東に行くと森があり、そこにオークが出没するらしい。

 索敵で見つけサンダーボルトで気絶させると二人が仕留めに行く。

「ナイス!」

「「はい」」

 すぐにマジックバックに入れて次を探す。

 計五匹討伐してギルドに帰る。

「巣があるかもしれませんね。ありがとうございます」

 五匹のオークの討伐を聞いた受付がそう言うと、オークの巣討伐依頼が張り出される。


「ご主人様、巣には行かれるんですか?」

「いや、まだレーナ達には荷が重いだろ」

「そうですね。ちょっと怖いかも」

「私もそうも思うよ」

 ミクスも同じ思いだった。

 返り討ちにあったら危ないからな。

 オーク五体はオーク肉を少し取っておいてあとは全部売却した。


「はい三等分」

「「ありがとうございます」」

 三人で分ける。これが仲間!

 その日の晩飯にはオーク肉のステーキがでてきた。とても美味いぶた肉だ。


 次の日もオーク討伐にでる。索敵で巣だと思われるところを発見する。が今のメンバーじゃ心許ないので退却あるのみ。

「オークの巣らしきものを見つけた」

「そ、それはどこら辺でしょうか」

 マップがあるからそこを教える。 


「直ぐに討伐隊を組みます。出来れば巣までご同行願いたいのですが」

「戦わなくていいのならいいが。このメンバーだと巣はちょっとな」

「分かっております。案内をよろしくお願いします」

 結局案内する羽目になって、討伐隊ができるのを待つ。


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