第15話 レーナとミクス


「じゃあ、服から行こうか」

「服は大通りを避けてそこで買える」

 奴隷商会の真ん前が服屋だった。古着屋だな。

「じゃあ、ここで好きなの選んでね。あとでまた普通の服屋にもいくからとりあえずでいいよ」

「「はい」」

 二人は念入りに服を選んでいる。

「あとで買うって言ったのに」

「女は時間かかるもんっすよ」

 二人は選んだ服に着替えた。

「見違えたね、ここにもこんな服あるんだ」

「こんなとこで悪かったね!代金を早く払いな」

「あ、すいません」

 代金を支払い、大通りに出る。大通りの服屋に入り二、三着買って良いというとまた選ぶのに時間がかかる。

 キース達と話をしていると決まったらしく、代金を支払う。

 次は武器屋、レーナは長剣でミクスが短刀を選んだ。防具屋では革鎧を二人とも選び、あとは雑貨だけになったので家に帰る。

「「うわぁ」」

「ここがこれから君らの家だよ」

 中に入り部屋を決めた、あとはお金を渡して雑貨を買ってくるように言うと二人して買いに行ってくれた。

「よし!」

「よし!じゃねぇよ、どこに雑貨買うのに五十万ゼル渡すやつがいるんすか?」

「いろいろといるだろ?」

「まぁ、いいや、戦えそうだから安心した」

「二、三日様子見て俺らは撤退するぞ?」

 ウェイドがそう言う。

「わかった」


「ただいま戻りました」

「おかえり」

 カバンも買ったみたいで良かった。

「これがお釣りです」

「それは分けて持っておいて、使える時に無いと困るから」

「「はい」」

 それからカバンをマジックバックに改造して、部屋にベットとタンスを置いて行く。

 もう夕方だったので酒場に飯を食いに行く。遠慮していたが、同じものを頼むとたべているので安心した。


 次の日は朝からキースとウェイドがレーナとミクスの特訓を始め、俺は朝飯を買いに出かける。そして風呂を溜めて朝練の終わった四人に風呂に入れと言う。

「俺らは良いっす、汗かいてないんで」

「これくらいならまだまだ」

 と言うことで二人に入ってもらい、朝飯をみんなで食べる。

「どう?二人は?」

「レーナの方はさすが獣人って動きっすね」

「ミクスの方もブランクがあるにしては動きはいいぞ」

 二人とも褒められて嬉しそうだ。

「なら良かった。俺は教えることができないからな」

「そういえばハルは戦えるのか?」

「おう!魔法なら任せとけ!」

「あ、そうか、魔法タイプだったっすね」

 キースが渋い顔をする。

「いちおう剣術とかもスキルもってるぞ?」

「は?ずるくね?」

「チートって言って欲しいね」

「なんだよチートって!」

 こっちの世界にはチートはないそうだ。


「じゃ!鍛冶屋にいってくるから留守よろしくね」

「ウェイド、よろしくっす」

「あぁ、二人とも気をつけてな」

 ウェイドに二人を預けて鍛冶屋に向かう。

「親父ぃ!出来てるかぁ!」

「おう!出来てるぞ!」

 エアコンとドライヤーを作って渡し、使いかたを教える。

「おぉ、こりゃカミさんも喜ぶぞ」

「だろ?」

 代金を支払い、マジックバックに仕舞っていく。

「な、なんじゃそりゃ!ワシのも作れ!」

「高いぞ!百万ゼルだ!」

「よし買った!」

「ちっ!めんどくせぇ」

 カバンを持ってきたのでマジックバックにする。契約はしないでおくらしい。

「家宝にするぞい」

「そっか!んじゃまたよろしくな!」

「おう!感謝する」

 鍛冶屋の親父と別れて昼飯の材料を買い込む。

「あ、冷蔵庫」

 冷蔵庫は売っていたので買って来た。

  

「ただいまー!」

「「お帰りなさいませ」」

「おう早かったな」

 ウェイドが汗をかいている。

「二人相手はちとキツイな」

「ヒール、あんま無理すんなよ?」

「おう、あんがとさん」

 ウェイドにヒールをかけておく。


 キッチンに入って冷蔵庫を置く、材料を詰めていき、料理に取り掛かる。

 まぁ簡単にサンドイッチだけどな。

 作りすぎたと思ったが思ったよりキースとウェイドが食べる食べる。

「美味い!」

「美味いっす」

「お前ら食い過ぎ、レーナとミクスにも残しとけよ」

 レーナとミクスも負けじと食べてはいるが男二人には敵わない。

「おお。悪りぃな!」

「ハル、料理うまかったんだな!」

「料理スキルももってるの!」

「すっげー、ずっけー」

「それは凄いな」

 キースとウェイドが文句を垂れて、レーナとミクスが落ち込んでいる。

「あたし達いる?」

「頑張ろう!」

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