第14話 奴隷


 受付で契約書にサインしてお金は一括で支払う。まだ金には余裕があるので家具を買いに行きたい。現状引き渡しで、鍵を貰い宿に帰るとマジックバックを取ってくる。

「マジですぐ決めちゃったっすねー」

「本当に良かったのか?」

「あれ以上になると豪邸だろ?」

「「まあね」」

「よし!家具を買いに行くぞ!」

 家具屋にベットやタンス、ソファにダイニングテーブルなどなどを買い、マジックバックに入れていく。

「つぎは調理器具」

 ようやく料理のスキルが試される時!

 あとカーテンを頼んで、家に帰る。

「さあて、どんな風になるかなー!」

 家具を置いていくとそれなりに豪華になっていく。外は暗くなりつつあるので電気をつける。

「おぉ、一日で見違えるようになったっすね」

「これなら我らも安心である」

 キース達もいつまでも俺についているわけにはいかない。宿だから警備が必要だったが家になると違ってくる。

「一人ではデカいな」

「雇えばいいっすよ、それが奴隷」

「奴隷が一番だと思うぞ」

 奴隷制度があるのはしっていたが、奴隷かぁー。

「まぁ、一人で考えてみるわ」

「奴隷商会にいくならついて行くっすよ」

「だな。危ないところはあるからな」

「やはりそうなんだなぁ」

 

 俺は今鍛冶屋にいる。

 なぜならエアコンやドライヤーを作るためだ。

「だからこう言うデザインの箱でここに羽をつけるの!」

「なんでこんな馬鹿げたものを作らにゃいかんのじゃ」

「んじゃこれでへんなものだったら倍額払ってやるよ!」

「ふん!あとで泣いてもしらんからな!」

「そっちがな!」

 ドワーフの親父と口喧嘩をし、作ってもらったのに付与魔術で風魔法、氷魔法、火魔法を錬金術で連動させて切り替えスイッチや調整ツマミをつくる。

「どうだ!」

「なにがじゃ!」

「これをこうすると!」

「おぉ、冷たい風が吹いてくるのう」

「で、こっちに切り替えると」

「今度はあったかいのう、で?」

「馬鹿か?これを部屋に置いておけばいつでも快適な温度で過ごせるだろうが!」

「……お、おお!凄いじゃないか」

「だろ?これを十台作りたいからよろしく!」

「よし、ワシの分もだから十一台じゃな」

「金取るぞ?」

「作らんぞ?」

「くっ!わかった!良いだろう!あとこれも作ってくれよ!」

 ドライヤーの図面を渡す。

「変な形なもんじゃな」

「つくれないのか?」

「つ、作れるわい!いくつだ!」

「十台だな」

「じゃあ十一台じゃな!」

 このクソ親父が!

「わかった!ちゃんとまけろよ!」

「おう!わかっとるワイ!」

 髭もじゃ親父を置いて鍛冶屋を出る。


「凄えもん作るなぁ」

「だろ?」

「売れるぞ」

「まぁ、気が向いたらね」

 キースとウェイドにそう言いながら奴隷商会を目指している。足が異様に重いのは日本人だからだろう。


「いーらっしゃいませ!奴隷商会ドナテーラにようこそー」

 あっ軽い感じだった。

「身の回りのことと戦闘ができる奴隷が欲しいんだけど」

「はーい、それではこちらでお待ちくださーい」

 算盤でもシャカシャカやりそうな男がおくに入っていく。


 次に出て来たのは女奴隷が四人と男奴隷が一人。

「こちらは身の回りも戦闘も全てこなせる人材でございます。右からレーナ、ショーン、ミクス、ラチナ、パールです」

 ここでキースが口を出す。

「犯罪奴隷は退けてくれるか?」

「…分かりました」


 三人が戻って行った。

 残ったのはレーナとミクス。

 レーナは金髪でキツネの獣人だろう、耳と尻尾がついている。ミクスは人間だろう。赤髪にすこし癖っ毛で猫目だな。

「こちらは借金奴隷になります。レーナは獣人で戦闘の方もできると思います。ミクスは元冒険者になりますので戦闘の方は大丈夫でしょう」

「キースはどう思う?」

「買いだと思うぜ、借金奴隷は借金さえ返し終えれば自分を買い戻せる。二人ともそれまではちゃんとしてくれるだろう」

「ウェイドは?」

「獣人は戦闘ができるのか?」

 ウェイドがレーナに聞く。

「はい、それなりに」

「なら買いだな」

「わかった、二人とも買うよ」

 ああ、買ってしまった。それも可愛い女の子を。

「ありがとうございます。レーナは五百万ゼル、ミクスは一千万ゼルでございます」

「あれ?安くね?」

「ハル?金銭感覚がバグってるぞ?五百万ゼルでも大金だ」

「そ、そうか、はい、一千五百万ゼルです」

 俺って最初から結構儲けてたんだな。

「では血を使った契約になりますので、よろしくお願いします」

 契約書に血を垂らすと僅かに光り契約は完了した。

「では、またのお越しをお待ちしております」


「レーナとミクスだっけ?俺はハル、渡り人だからこう言うことは初めてなんだ。至らないところがあったら教えて欲しい」

 頭を下げるとキースに叩かれる。

「ハルは主人になったんだから堂々とする。そしてこう言う奴だからって舐めると痛い目見るからな?」

「「はい」」

 レーナとミクスが返事をする。

「じゃあ、必要なものを買いに行こうか?」

「服、防具、武器、その他雑貨だな」

 ウェイドが言うにはそれくらいは買わせないといけない。

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