第4話 マジックバック


 よし!薬草採取をしよう!受付でズタ袋を借りて門の外に出る。

「よう、渡り人、もうギルドの依頼をやるのか?」

「はい、頑張らないと生活がかかってますから」

「そうか!頑張れよ!」

 門兵に気合を入れてもらい、薬草を探す。


 薬草は分かるし取り方も分かる!

 こりゃ楽だわと思い夢中で取っていたら、腰が痛くなって来た。ズタ袋半分くらいになったのでもういいかと立ち上がる。

「えっ!」

 気付くとグラスウルフが数匹いて囲まれていた。

「えーい!ファイヤーボール!!」

 一匹にぶち当たり頭が消し飛んだ。

 そのうちに剣を抜いて構えるとグラスウルフが飛び掛かってくる。それを避けながら首を狙い刎ねる。

 残り二匹になるとグラスウルフは逃げていった。三匹のグラスウルフが獲れたがどうしようか?まずは血抜きだな。

 本に書かれてあった様に血抜きをし、紐が無いので蔦を探して足を縛って担いでいく。


「おぉ、グラスウルフじゃねぇか!よく獲れたな」

「なんとかなりました」

 門兵に身分証を見せて中に入る。


 ギルドに持っていくと外の右手にある建物に持って行ってと言われ、そっちにいくと解体場だった。

「おう、グラスウルフね」

 サッと持っていって解体してくれる。

「血抜きもまずまずだし、これくらいになるよ」

 六千ゼルになるらしい。

「はい!それで」

「じゃあこれを受付に渡してね!」

 女の人だったが恰幅のいいお姉さんだった。

「受付に持って行けと言われたので」

 紙を渡すと、冒険者証を要求される。

「あ、あと、薬草もお願いします」

「はい、わかりました」

 ズタ袋も渡してしばし待つとお姉さんが持って来たのは明細とお金と冒険者証。

 グラスウルフが六千ゼルだから薬草が三千ゼル?そしてFランクからEランクに上がったらしい。

 

 一日九千ゼルだと宿代が五千で飯が千だから細々したのを抜くと二千ゼルは貯金できるな。

 いや。今日は本当は薬草採取だけのつもりだったから三千ゼルの赤字になるとこだったわけか。

「こりゃ、なんとかせんといかんな」

 明日魔導書を手に入れよう。


 宿に帰り女将さんに夕食を頼むと、昨日と少し違う料理が並ぶ。芋の煮付けに何かの照り焼きにパンとエール。うん、美味い。


 シャワーを浴びてスッキリした所で、剣の手入れをする。使ったらちゃんと手入れしろと言われたからな。

 ここに来て思ったのは洗濯をどうしようと言うことだ。明日女将に聞いてみよう。


 翌日は朝の鐘で起きた。

「おはようございます」

「ハル、おはよう」

「女将さん、洗濯ってどうしてるんですか?」

「あぁ、普段着なら朝のうちに部屋の外に籠があるから入れとけばやっとくよ」

「はい!わかりました」

 朝ごはんを食べて、替えの服なんかを買いに行く。それなりに散財してから宿に一度戻り着替えてから魔導書店にいく。


「さて。火魔法は使えるから風魔法なんていいんじゃないか?一冊五千ゼル?高いなぁ。でも買うしかないか」

 一冊五千ゼルの風魔法と、水魔法、あと生活魔法を買い、すべてを宿で読んでから自分の中に入れる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 近藤 春こんどう はる21歳

 レベル5

 力 E

 体 E

 速 E

 知 E

 魔 E


 スキル 火魔法2 風魔法 水魔法 生活魔法 剣術

 ユニーク 書庫の管理人

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 これでなんとかなるか?なるようにしかならねぇか。

4

 今日は古本屋を探す!女将さんに聞いたらあるそうだ。古本屋で爆買いじゃあ!


 宿を出て少し寂れた場所にある古本屋に入る。宝の山だ。これは剣術の指南書?これもはいるかな?一冊百ゼルなら問題ない。

「おっちゃん!これ下さい」

「おう、まいど、百ゼルな」

 外に出て読む、そして自分の中に入れる。スキルに『剣術』が増えた!

「よし!指南書も買うぞ!」

 それから物色していたら分厚い本がある。

「なぬ、空間魔法?こっちは重力魔法?分厚くて三部作になってるし」

 値段は二千ゼル?

「おっちゃん?これ三つで二千ゼル?」

「あ?あー、売れんし千ゼルでいいぞ」

「買う!こっちは?」

「それも千ゼルじゃな」

「買いまーす!」

 お、重い、張り切りすぎて六冊も買ったし、これじゃ潰れるな。外で座って読む、パラパラとだが頭に入ってくる。そして全部読み終えると自分の中に入れる。

 これチートじゃね?

 ちょっと金がかかるけどな。

 また古本屋に突撃し、指南書をあるだけ全部を買う。

 全部で十一冊、剣術二冊、槍術三冊、盾術二冊、拳術四冊。

 全て読んで取り込んだ。全部百ゼルで千百ゼルだ!

 もう一度!と、魔導書が少ないな。それになんか薄い魔導書は置いてない。

「おっちゃん?火魔法とかの魔導書はないの?」

「そんな人気なのはねぇよ、あるのは不人気の分厚い魔導書だけだぞ?」

「そうなんだ」

 空間魔法に重力魔法はまだあるな。

「こ、これ買います!」

「さっきと一緒のじゃねぇか?」

「うん!でも欲しいから」

「ならいいけど、さっきと一緒な」

「はい!」

 空間魔法の本が二冊分だから六冊、重力魔法が一冊分。計九冊。

 もう古本屋に座って読むことを許してくれたおっちゃん。

 読んじゃ入れてを繰り返してようやく全部取り込んだ。

「おっちゃんまた来る!」

「おう!またな!」

 あとは付与魔法があれば多分できる!

 魔導書店に行き、付与魔法の魔導書を五千ゼルで買う。

 

 あとはカッコいい鞄!肩掛けの革の鞄を買った。あと財布になるようなベルトにつける革の箱型財布。全部で一万五千ゼル。くぅ、金が飛ぶなぁ。


 宿に戻り部屋で付与魔法の本を読み取り込む。よし、準備は出来た。


 鞄に空間拡張、重力軽減、を付与魔法で付与すると、できた!マジックバック!

「よっしゃ!これで俺は生きていける!」

 

 

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