第一七七話 意外と堅牢な下曲陽城
夜通し行軍した私達は
私は自身が引いている軍勢の陣形を整えたあと、すでに始まってる緒戦の報告を伝令兵から聞く。
矢継ぎ早に様々な情報がはいる。
「報告!
「いきなり吉報ですね」
私は愛馬である『
そして、数刻もしないうちに再び伝令兵が報告しにくる。
「城攻めしていた先陣は城門を破壊しつつ、城壁を梯子で駆け上がったのですが岩や弓矢による激しい抵抗を受け、さらに守城兵器により後退せざる得ない状況です!」
期待はしていたが、さすがに初日で城内に潜入できるわけないか。城攻めはやはり長期戦になりそうだ。
「
「ええっと……なんか板に針が付いてるやつでした」
「…………ちょっと分からないですね、その説明だけでは」
「ですよね~」
ですよねって……呑気か。
この伝令兵も多分、口伝された情報を伝えてるだけだから彼は悪くないが。その後、バツの悪そうな顔をした伝令兵はそそくさと去っていった。
私は乗馬し、軍勢の中に紛れ込もうとすると
「我が君」
「どうしましたか?」
「先程の伝令兵との会話を盗み聞きしたので守城兵器について調べて参りました」
「お、それは助かります」
私は口角を上げながら、斉周は盗み聞きじゃなくて堂々と話を聞けばいいのになと思った。
「重い板に多くの鉄釘を打ちつけたものを使っているようです。それを縄に付けて城壁を駆け上がる兵士を追い払っています」
私は斉周の言葉を聞いて腕を組み考えあぐねる。
「おそらく、
「おお、名前まで知ってましたのね。我が君、さすがです」
確証はないが多分、狼牙拍だと思う。城壁をよじ上る敵兵に城壁上から鉄釘が飛び出てる板をぶつけて攻撃するものだ。
当たり前だが、官軍が近づいている以上、黄巾賊もそれなりに準備してきたというわけか。これは一筋縄ではいかないな。
「ところで、なんで私と伝令兵との会話を盗み聞きしていたのですか? 堂々と聞いたらいいのになとは思うのですが」
「人の会話は邪魔するわけにはいけませんよ、ではこれにて失礼」
そう言って斉周はその場を去っていく。
「いつも私の背後から急に現れて話しかけてくるのに……」
たまに斉周が分からなくなる。
まあそれは置いといてだ。戦場が変化していくのを待つか。
兵糧を運び終えた私達は後方支援部隊でも先陣を切る役割を与えられるわけでもなく、臨機応変に戦場で行動することが求められていた。盧植と
おそらく、それを当てにされて自由自在に動ける状況になっているのかもしれない。
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