第一六三話 集結しつつある官軍
数日後。
私こと
しばらくすると、軍勢の真ん中を割って出てくる男がいた。
「おそらくあれが
劉備は出てきた男を顎で差す。
「でしょうね」
私は相槌を打って遠くにいる皇甫嵩を見つめる。頭部、腹部、肩、足に鈍色の甲冑を纏い、歴戦の戦士の出で立ちをしていた。
彼こそが
未来では
黄巾の乱は彼の手によって治められたと言っても過言ではない。青年時代から文武に優れ、黄巾の乱では火計、奇襲等の戦術によって次々と黄巾賊を討ち取り張角の弟である
しばらく、外を見ていると横から話し声が聞こえる。
「
「三万人と聞きましたぞ」
「俺らの軍と合わせたら六万人ってところか」
孫堅は強面の坊主頭の中年と話していた。顎と鼻の下にちょび髭を生やし、
彼の姓は
さらに孫堅と黄蓋の後ろにも有名な武将がいた。利発そうな顔立ちの中年で、
彼もまた
姓は
このように程普はあらゆる戦場で活躍した名将だ。
「程のおっちゃん」
孫策が程普の鎧を木剣で突いていた。
「
「手合わせしようぜ」
孫策は程普と戦いたがっていた。
私以外にも試合を申し込んでいるのか。戦いが好き過ぎるだろ。
「『黄巾殺し』殿と最近手合わせしていたではないか、彼に頼んではどうかな」
「それもそうだなっ」
おい、程普。押し付けるな。
私は怪訝な顔で程普の方を見ると彼と目が合う。すると、程普は申し訳なさそうな顔で頭を下げる。彼とは
「劉殿、孫策とちょっと一試合してきますので場を離れ……劉殿?」
劉備はある一点を見つめていた。私は不思議そうに彼の顔を覗き込む。
「田豫……あの男は誰だ」
彼はある人物を見ているようだ。私はその視線の先を見る。
皇甫嵩の隣にその男はいた――派手な格好をしているわけではないが威風堂々とした雰囲気に何故か目を惹かれてしまった。そして彼は心なしか劉備の方を見たあと、私を一瞥した気がする。
距離があるせいで容貌を完全に視認できないが、
「――
私は自然と
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