第一五八話 超大物がきちゃったよ
一瞬、新手の敵かと思ったが、すでにこの城は
「でも、念の為に」
私は息絶えた
次いで、遺体の腹部に刺さった愛刀を右手で抜き、左手に頭巾を持ったまま誰かくるであろう壁穴に向かって歩を進めた。
穴の奥から人影が見えた瞬間、それは全力で突進してくる猪のように飛び出してきた。
私は思わず、腰を踏ん張って身構えてしまった。
穴から飛び出してきた人物は床に降り立つと鋭い眼光で私を見据えた。そして、その者と目が合った私は大きく目を見開いた。心臓の鼓動が速くなる。この緊張感は
その者――彼は赤い頭巾を被り、どちらかと言えば悪人顔ではあるが、凛々しい雰囲気だ。赤い外套が付いた
「まさかこんな所に隠し部屋があったとは! そしてお前、黄巾賊か」
「え、いや違います!」
「その左手に持ってる黄色い頭巾は黄巾賊である証拠ッ!」
「それはその男から剥ぎ取った者です! その男こそ、この城にいた黄巾賊の指揮官です!」
私は前を向いたまま、背後にある遺体に向かって指を差した。
「証明はできるか?」
「………えっと」
「死んでいる者が官軍でお前が黄巾賊だッ」
黄色い頭巾を剥したのが裏目に出ちゃった。
「信じてください。敵の指揮官はこの部屋で私達がくるまでやり過ごそうとしてたんです。仮に私がその黄巾賊の指揮官なら若すぎます」
「笑止!
いや、それ私だから。
困惑しつつ場を切り抜ける言葉を考えようとしていると、
「あいにく、俺は武器で語り合うのが趣味なんでな」
そう言いながら男は腰の柳葉刀を抜刀した。
待て待て! 落ち着いてくれ!
この人と戦いたくないんだけど。
「行くぞッ!
「冗談じゃない! なんでこんなことに!」
孫文台――
孫堅は中国南東にある地方である
彼も一騎当千の実力者の一人だが……
今の
まさかこんなとこで彼と出くわすとは思わなかった。これは三国志マニアとして興奮すべき出来事なのかもしれないが。彼が斬りかかってくることに関しては最悪だ。
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