黄巾決戦編
第一四七話 最終決戦に備えて黄巾の乱を振り返ってみた
太平道の信徒は
そして、今は一八四年六月。黄巾の乱勃発から五ヶ月が経過している。その間に私こと
とにかく今振り返っても濃密な五ヶ月だった。
主だった戦いを思い起こそう。
ここで私は魚陽県を救った英雄のような扱いを受けた。今思い出しても気分がいい! ふへへ! おっといかんかん、ニヤけながら矢筒に矢を入れてたら、隣で作業してる人が私を見て顔を引き攣らせていた。
あのとき、黄巾賊の兵力が義勇兵の三倍以上いたが自信満々に策はあります! ドヤァ! みたいな感じを仲間の
乱勃発から二ヶ月経った頃にはようやく
さらに乱勃発から三ヶ月後、私は劉備や官軍と共に広陽郡で黄巾賊が占拠していた
今までの戦果で私は『黄巾殺し』という異名で呼ばれ、一四歳にして盧植軍の佐軍司馬になった。劉備は『
この事実はとんでもないことだ。史実以上に劉備は躍進しているどころか私自身、年齢を鑑みれば類い稀な快挙を果たしていた。活躍すればするほど高位の地位を貰えるはずだ! 盛り上がってきた! 今、手入れをしている剣を持ちながら小躍りしたい。
そして、現在、何をしているかというと――
――私達は鉅鹿郡の南方にある広宗県から鉅鹿郡の最北端にある
恐らく下曲陽での戦いが最終決戦になるだろう。確証はないが史実では一八四年一〇月に広宗県で張角が病死したあと、軍を引き継いだ張梁が破れた。そして、下曲陽にいた張宝も敗れたことで黄巾の乱が終結したという事実がある。今回は下曲陽にその三兄弟がいる。ここで戦勝すれば黄巾の乱は終息するはずだ。
しかし、真っすぐ下曲陽の県城に向かうことはできなかった。道中に黄巾賊が根城にしている城や集落があり、私達は度々、小規模の戦闘をしていたが、今から行う
今から攻めるのは県城と同規模の廃城だ。大方がいるらしく一万の軍勢がいると予測できるがこちらは総勢四万の軍勢だ。
「そろそろ行くとするか」
武器の手入れをやめ、矢筒、弓、愛刀である『水龍刀』を装備し、盧植のいる幕舎へと向かった。
幕舎の中に入ると木製の卓を囲んで立っていた劉備と盧植がこちらに体を向けた。
劉備は私を見てほくそ笑む。彼とは随分と仲良くなった。
「
「武器が手入れしてほしそうな顔をしていたので手入れしてました」
とぼけながら劉備の隣に立つ。
「そなたは
「そういえばそんなこと言ってたような気がします。『槍が……拭いて欲しいと言って泣いている……』と彼が言ったあと『武器の声が聞こえるんですか?』と聞いたら『聞こえはしない』って言ったので『聞こえないんかい』ってツッコミました」
「はははっ!」
劉備は
「そろそろ話を始めてもよいな?」
「「はいっ」」
私と劉備は気まずそうな顔をしたあと、気を取り直して盧植に応じ、これから採る軍事行動について話し合い始めた。
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