第25話クリスマス会前日

各役割のリーダーが仕事を恙無く進行すると何度もリハーサルを重ねていた。

台本通りにことが進むとは思えないが何も準備をしないよりはましだ。

期末テスト期間に突入すると部活も委員会も完全に休みになってしまう。

それまでに完璧に準備を終わらせておくのであった。


「最近、放課後はずっと生徒会の仕事を手伝っていたけど…勉強の方は大丈夫?」

テスト期間に入った途端にさらりは僕に問いかけてくる。

僕は少しだけ表情を歪ませると困ったように軽く微笑んだ。

「じゃあ付け焼き刃かもしれないけれど…今日からみっちり勉強だね」

「お願いします」

というわけで僕とさらりは放課後の時間を使ってテスト範囲の復習に時間を割くのであった。


テストが無事に終わると返却も済んで二学期は終りを迎えた。

「全教科80点以上ね。順位は30位。三年生では一桁代をキープしようね?」

「うん。さらりちゃんは何位だった?」

「いつも通り2位だよ」

「じゃあ1位は…」

そこまで口を開いた所で僕らの会話を盗み聞きしていた件の人物がやってくる。

「もちろん私よ!今回も勝ったわ!」

姫野が僕らの元にやってくるとさらりは目に見えるように嘆息して見せる。

「はいはい。おめでと」

「ふん!負けるわけ無いものね!」

「わかったわかった。クリスマス会は成功しそう?」

「もちろん!私と真田くん。完美さんまで居るんだから失敗するわけ無いでしょ?」

「なんかフラグっぽくない?」

「………そんなことは…不吉なこと言わないでよ…」

急に自信をなくした姫野は少しだけ俯くと情けない表情を浮かべていた。

「姫野さん。大丈夫だよ。僕らはあれだけリハーサルしてきたんだから」

「そうだよね。真田くん…ありがとう」

「当日も頑張ろうね」

「うん!」

僕らの会話を耳にしていたさらりは少しだけ不機嫌な表情を浮かべている。

「なんか二人の距離縮んでない?」

「そう?生徒会の仕事を一緒に手伝っているからかも」

僕の答えを耳にしたさらりは軽く舌打ちをすると口を開いた。

「姫野さんが居るって知っていたら私だって手伝いに参加したのに…」

どこまでもライバル同士の二人に軽く頬が緩むとクリスマス会最後のリハーサルに向かうのであった。


そして、クリスマス会前日の夜のこと。

「クリスマス会は何時に終わるの?」

クリスマス会前日である12月22日に僕とさらりは電話をして過ごしていた。

勘の良い人間なら理解したと思うがクリスマス会が行われるのは12月23日である。

24日と25日に行わなかったのは小学生にも高校生にも他に用事があるだろうと言うことからだった。

その提案をしたのはもちろん南雲だった。

「20時には完全に解散予定だね」

「その後の予定は?」

「高校生は打ち上げがあると思うけど。それでも22時には完全に解散するよ」

「そっか…。じゃあ終わったらそのまま家に来ない?24日25日も一緒に過ごそ?」

「良いの?」

「もちろんだよ。ごちそうの支度して待ってるね」

「楽しみにしておく」

そこからも他愛のない会話を繰り広げながら24時を迎える辺りで通話を切り眠りにつくのであった。

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